キャリアプランを支援する方法とは?従業員の理想に向け企業ができること

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最終更新日 2023年8月23日

キャリアプランを支援する方法とは?従業員の理想に向け企業ができること

キャリアプランとは、仕事や働き方において、将来的に自分がなりたい姿を実現するための計画です。従業員が自身の能力を活かしていきいきと働くために、企業は彼らが望むキャリア形成の後押しが求められています。

キャリアプランを作成し、理想を実現したい従業員に対して、企業はどのように支援すればよいでしょうか。本記事では、キャリアプランの概要や計画の立て方、企業にできる支援方法を紹介します。
 

目次

キャリアプランとは
キャリアプランが必要とされる理由
キャリアプラン作成のメリット3つ
キャリアプランの立て方と必要な考え方
企業ができるキャリアプラン作成の支援

キャリアプランとは

本章では、キャリアプランの概要と類似用語との違いを説明します。

キャリアプランの概要

キャリアプランとは、キャリアにおいて、将来的に自分がなりたい姿を実現するための計画です。理想の実現のために、今後どのように行動するべきか具体的な計画を立てます。場合によっては転職や独立等、ひとつの企業に留まらない計画となる可能性もあります。

キャリアプランと類似用語の違い

キャリアプランとキャリアデザインの違い

キャリアデザインとは、仕事に限定せず、結婚やワークライフバランスといった個人的なビジョンも含む人生設計を指します。キャリアプランが仕事や働き方の将来像を実現するための計画であるのに対し、キャリアプランは人生全体を計画の対象とする点が違いです。

キャリアデザインとして描いた人生設計をどう実現していくか、仕事の領域でのアクションを決めるのにキャリアプランを立てます。いずれも、自分自身の意思で主体的に設計する姿勢が重視されます。

キャリアプランとキャリアパスの違い

キャリアパスとは、勤務先で就きたいポジションや獲得したいスキルを実現するための道筋を指します。社内での昇格や配置転換といった内容で、主に企業側が従業員に対して提示するものです。

キャリアプランやキャリアデザインは転職や独立等、社外でのキャリアも含むのに対し、キャリアパスは同一社内でのキャリア構築について様々な選択肢を可視化します。

キャリアプランが必要とされる理由

本章では、従業員と企業にとって、それぞれどのような理由でキャリアプランが必要なのか解説します。

従業員にキャリアプランが必要とされる理由

現代はIT革命や働き方改革等による変化が激しく、先を見通しにくいことから、VUCA時代(*)と呼ばれています。

社会情勢や環境、技術等が著しく変化している現代では、受け身の姿勢のまま評価される人材になることは難しいでしょう。評価や自己成長のためには、従業員も主体的にキャリアプランを作成し、どうキャリアを積み重ねていくべきか自らで考える必要があります。

自律的な働き方を促すキャリアプラン作成は、いきいきと働くことにも繋がるでしょう。

(*)VUCAは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(あいまい性)の頭文字をとった造語。1990年代にアメリカで「戦略が立てにくい状況となった」ことを意味する軍事用語として使われはじめ、2010年代以降ビジネスでも広く用いられるようになった。

企業にキャリアプランが必要とされる理由

日本では、少子高齢化によって労働力人口が減少することから、人材不足の慢性化が懸念されています。企業は今いる従業員を大切にし、人材の社外流出を防がなければなりません。従業員がそれぞれ思い描くキャリアプランを実現できるよう、積極的に支援することが求められます。

キャリアプランにより個々の従業員が順調にキャリアアップすることは、企業の生産性向上にも繋がるでしょう。先の見えない時代で生き残りを図るという点でも、企業経営においてキャリアプランが必要とされています。
 

キャリアプラン作成のメリット3つ

本章では、キャリアプラン作成のメリットを3つ紹介します。

今後のアクションに迷いがなくなる

理想のキャリアを実現するためには、スキル獲得や苦手の克服等のアクションが必要です。キャリアプランの作成によって、今後やるべきことが明確になり、行動しやすくなります。

たとえば、あるプロジェクトへの参加に手を挙げるかどうか迷ったとき、自身のキャリアプラン達成に必要なプロジェクトかどうかを軸に判断しましょう。キャリアプランを作成し、必要なアクションを可視化することで、確実なキャリアの積み上げに繋がります。

仕事へのモチベーションが上がる

社会の先行きが見えない今の時代、個人の将来も見通しを立てにくくなっています。そのような状況では多くの人が不安になり、仕事をはじめ生活全般に対する意欲が減少してしまうかもしれません。

キャリアプランを作成すれば、日々の業務と自分の将来のなりたい姿が結びついていることを意識できます。また、キャリアプランに記したことを達成するたびに、理想に近づいていると実感できるでしょう。その結果、仕事に対するモチベーションの向上が期待できます。
 

大きな判断に対して自信を持てる

「転職」「独立」のように、今後の人生に大きく影響する判断が必要な場合にも、キャリアプランは役立ちます。数ある選択肢の中からキャリアプランに合致するものを選ぶことで、その判断に満足し自信を持つことが可能です。

キャリアプランの立て方と必要な考え方

本章では、キャリアプランの立て方と必要な考え方について説明します。

1. 現状を理解する

はじめに、自身の現状を理解するために必要なのが自己分析です。過去を振り返り、経験・スキルをすべて書き出しましょう。その際、キャリアプランシートを作成して時系列でまとめるとより深く分析できるでしょう。できごとに対する感想もあわせて記入します。

キャリアプランシートとは一般的に、キャリア関連の自己分析を行う際、分析項目や分析結果をまとめたシートのことです。

2. 将来なりたい姿を考える

次に、将来なりたい姿を考えます。どのような仕事をしていたいか、働き方はどうか、希望年収等をキャリアプランシートに記入します。人物像だけでなく、将来取り組みたい仕事や理想の働き方、ライフプランもあわせて考えることが大切です。

3. 実現する方法を考える

最後に、現在の自分から、どのように行動すれば理想像に到達できるかを考えます。その際、実現方法を現状と理想のギャップをキャリアプランシートに客観的に書きだすことで、なりたい自分になるために必要なスキルや経験を的確に判断できます。

また、いつまでに何をする、といった期限目標を設定することも有効です。「1年以内の目標」「3年以内の目標」のように期間を細かく区切って書き出すと、より現実的なキャリアプランとなるでしょう。
 

企業ができるキャリアプラン作成の支援

本章では、従業員のキャリアプラン作成に対して、企業ができる支援を紹介します。

必要な情報を提供し、支援に積極的な姿勢を見せる

キャリアプラン作成を支援する第一歩として、従業員に興味・関心を持たせることが不可欠です。キャリアプランの有用性や必要性等の情報を提供し、キャリアプラン作成の支援に積極的な姿勢を見せることで、従業員に必要性を理解してもらいます。

具体的には、キャリアプランの相談窓口や社内面談の場を設けるといった方法が挙げられます。会社の経営方針として、従業員のキャリアプラン形成を重視することを表明するのもよいでしょう。

キャリアをサポートする制度を取り入れる

キャリアプランの作成に役立つ人事制度を、導入する方法もあります。
 

ジョブ型雇用制度

ジョブ型雇用制度とは、ポストごとの業務内容を定める制度です。求められる経験やスキルを明確にすることで、職種や役職への出世意欲を持ちやすくなります。また、どうすればキャリアアップできるのかも明瞭になり、キャリアプランを立てやすくなります。

研修制度

キャリアアップのための研修制度を設けるのもよいでしょう。研修に参加することで達成感が得られ、キャリアプランの立て方に迷っている従業員にとっては非常に有益です。また、従業員が学びたいことを学べる場が提供できれば、企業に対する満足度も向上するでしょう。
 

評価制度

キャリアアップの基準が定められた制度です。具体的な目標として利用することができます。公平な評価がされ、日ごろの努力が報われると感じられれば、社内でのキャリアアップに意欲的になるでしょう。

従業員のキャリアプラン作成を支援し、エンゲージメントの高い組織運営を

先行きの不透明な時代に企業が生き残り、成長・発展していくためには、優秀な従業員にいきいきと長期にわたって働き続けてもらう必要があります。

高い能力を持つ人材の社外流出を防ぐには、従業員のキャリアプランをできる限り支援し、エンゲージメントを強化することが不可欠です。

従業員へのキャリアプラン支援には、有益な情報を提供して積極的に支援する姿勢を見せるほか、様々な人事制度を導入するといった方法があります。自社にできること、従業員が必要としていることからはじめて、キャリア形成の強力なサポートを行える組織を目指しましょう。

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