DEIとは?なぜ必要?企業で推進する際のポイントや取り組み事例を紹介

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最終更新日 2023年9月6日

DEIとは?なぜ必要?企業で推進する際のポイントや取り組み事例を紹介

近年、「DEI」という言葉をあちこちで目にするようになりました。社会の価値観や人材の多様化が進む中、DEIの推進によって様々な従業員が働きやすくなり、人材活用に繋がることが期待されます。本記事では、DEIの意味や推進のメリット、企業における取り組み事例を紹介します。

DEIとは?

DEI(ダイバーシティエクイティインクルージョン)とは、「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包括性)」の頭文字を取った言葉です。

「あらゆる人が公平に扱われ、尊重され、組織・社会において包括される」状態を目指すこと、あるいはそのための取り組みを意味します。企業におけるDEIとは、「従業員の個性を発揮できる環境が企業の成長に繋がる」という考え方、もしくはそれを実現するための体制づくりや取り組みです。


ビジネスにおいて「D」「E」「I」それぞれが示す内容は、次の通りです。

「D」 Diversity・多様性

ここでの多様性は、性別や年代、国籍だけにとどまりません。育ってきた環境や文化、性的指向、能力、価値観や信条等の様々な要素を含みます。DEIでは、多様な個性を持つ人々の存在を認めることで、企業の成長に繋がるとしています。
 

「E」 Equity・公平性

雇用機会や情報資源といった機会や資源の配分において、従業員が公平に扱われることを意味します。単純に平等に接することではなく、不均衡に配慮したうえでの公平性が求められます。
 

「I」 Inclusion・包括性

異なる背景や考えを持つ人々の存在を認め、尊重し、受け入れる文化を作ることです。従業員が自分自身を偽りなく表現できるようにすること、独自の価値観や考え方を許容すること、同じ目標に向かって協力する状態を指します。

「Equity」と「Equality」の違い

DEIの「E」は「Equality(イクオリティ・平等)」ではなく「Equity(エクイティ・公平性)」を指します。Equityとは、一人ひとりが異なる状況であることを認識し、公平な機会を提供しなければならないという意味です。

企業においては、従業員一人ひとりの状況を理解したうえで支援し、公平な土台を作ることが求められます。Equityは個々に合わせた支援をする考え方であるのに対し、Equalityは平等に同じ支援を行う考え方です。

たとえば、勤務時間や忙しさが個々で異なる組織において、一律でスキルアップ研修を開催した場合、参加できる人とできない人に分かれてしまいます。複数の時間帯に分けて開催する、対面・オンライン双方で開催する等の工夫をすることで、研修参加への公平性が高まるでしょう。

 

DEIが注目される背景

DEIが注目される社会背景として、以下の3点が挙げられます。

人材の多様化

人材の多様化が進み、個性を尊重して受け入れる社会にすることが求められています。また、働き方改革により、個々の事情に応じた働き方が選択できるように、企業では柔軟な体制の構築が必要とされています。

労働人口の減少

日本では少子高齢化が加速し、労働人口の減少による労働力不足が大きな社会問題とされています。労働力不足を補うために、企業はあらゆる方面から労働力の確保に努めなければなりません。

様々な従業員が働きやすいように、DEIの取り組みを通じて職場環境を整備することが重要です。
 

グローバル化の進展

グローバル化により企業競争が激しくなり、日本企業は古い慣習からの脱却が求められるようになりました。従来の考え方にとらわれず、グローバルスタンダードに準拠する新しい体制を経営に取り込む必要があります。

人材活用に関しても、新しい価値観を持つ人や、性別、国籍に関係なくあらゆる人が活躍できる体制が求められることから、DEIへの取り組みの必要性が高まっています。
 

DEIに取り組むメリット3つ

本章では、DEIを推進する3つのメリットについて解説します。
 

企業価値・社会的評価の向上

DEIに取り組むことで、制度の見直しや新しいしくみ作りがなされ、企業体質のアップグレードが図れます。時代に対応した企業へと生まれ変わることで、企業価値向上が期待できます。
 

人材不足の解消

従業員の事情に応じた働き方が可能になるため、離職者の減少が期待できます。DEIへの取り組みは求職者からも評価されるポイントでしょう。人材の採用枠も広がるため、人材の維持・確保の双方に繋がります。
 

イノベーションの創出

様々な背景や価値観を持つ人材が議論を重ね、アイデアを出し合うことによって、新しいサービスや技術等でイノベーションが生まれやすくなります。

 

DEI推進の4つのポイント

本章では、DEIを推進するうえでのポイント4つを説明します。
 

自社のビジョンを明確にする

多様な人材を活かし、組織として十分に機能するためには、自社のビジョンの明確化が求められます。理念やミッションとともに明確に定義づけし、従業員に対して情報発信する必要があります。
 

働きやすい環境整備に努める

従業員一人ひとりが働きやすいように、職場環境や制度を整備することもDEI推進に繋がります。具体例としては、フレックスタイム制や裁量労働制の導入、育児・介護休業の充実等があげられます。

DEIへの理解を深める

DEIの取り組みを効果的に進めるには、従業員の理解を得ることが不可欠です。経営陣だけでなく、従業員にもDEIの目的やメリットを十分に説明します。DEIに対する従業員の不安を解消することで、効果を実感しやすくなるでしょう。
 

公平に評価するしくみを作る

スタート地点が異なる様々な従業員が、公平に評価されるしくみ作りも大切です。たとえば、言語の違いからコミュニケーションが不十分になりがちな外国人労働者、勤務状況が見えにくいリモートワークの従業員等が、公平に評価されるように評価制度を整備しましょう。

DEIの取り組み事例3選

本章では、企業におけるDEIの取り組み事例を3つ紹介します。

ITサービス業|B社

ダイバーシティ推進を含む「風土改革」を盛り込んだ中期経営計画の策定、多様な働き方を支えるための改革等を実施されました。

その結果、新規事業創出プログラムや、多様なステークホルダーとのコラボレーションで生まれたビジネスの展開により、売上拡大に繋がりました。イノベーションを意識している社員の割合、個を活かしたチーム運営を実感する社員の割合が増加し、従業員エンゲージメントも向上しています。

運送業|O社

ダイバーシティポリシーの設定、社員全員が安心感を持って働けるしくみの整備、個別のキャリアプランを考慮した能力開発の機会提供等を通して、高い目的意識の醸成に取り組まれました。

その結果、多様な経験や特性を持つ人材が充実感を持って働ける環境が整備され、事業の発展・拡大が実現しました。新たな人材獲得に繋がる好循環が生まれています。

表面処理総合メーカー|S社

外国人社員を組織に溶け込ませるための経営トップによるコミットメント、 人材育成の方向性を明確化し、要職に登用することによるアウトプット能力の向上といった取り組みを実践されました。

その結果、 外国人社員の活躍による企業風土・事業モデルの改革や、活躍発信による新たな外国人社員の獲得を実現しました。

 

企業・従業員の成長や人材活用に向けてDEIを推進しよう

DEI推進には、企業価値向上やイノベーション創出等の様々なメリットがあります。人事の抱える問題の解消や、人材活用に繋がるでしょう。本記事で取り上げたDEI推進のポイントや他企業の取り組み事例を、DEI推進に向けた検討・取り組みにお役立ていただければ幸いです。

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