大手企業における勤怠管理は、従業員の増加に伴い業務が複雑化しがちです。雇用形態や労働時間の集計、長時間労働の対策、頻繁な法改正への対応、従業員の入力負荷軽減など、多くの課題を抱えています。
本記事では、大企業ならではの課題をご紹介し、これらの課題に対応する効率的な勤怠管理の実現方法を事例とともにご紹介します。
目次
勤怠管理システムとは?
企業が正確な労務管理を行い、法令を遵守するには、適切な勤怠管理が不可欠です。特に大手企業では、雇用形態の多様化や申請手続きの複雑さ、長時間労働の防止などが課題となり、従来の紙や表計算ソフトでの管理ではミスや不正が発生しやすくなります。これらの課題を解決するのが「勤怠管理システム」です。
勤怠管理システムの基本機能
勤怠管理システムには、企業の労務管理を効率化し、適切な勤怠管理を実現するための様々な機能が備わっています。ここでは、主な機能についてご紹介します。
出退勤管理、アラート機能
従業員の出退勤時刻を正確に記録・管理する機能です。ICカード、PCログイン、スマートフォンアプリ、顔認証など、多様な打刻方法に対応しており、勤務実績を把握できます。これにより、打刻漏れや不正打刻を防ぎ、労働時間を適正に管理できます。さらに、勤怠データは自動で集計・分析され、労働状況の可視化も可能です。
システムによっては、長時間労働や法令違反のリスクを検知し、管理者に自動で通知するアラート機能も備えており、コンプライアンスの強化にも繋がります。
シフト管理
従業員ごとに異なる、「裁量労働制」「フレックスタイム制」などの就業形態や、勤務時間に応じたシフトを適切に管理できる機能です。勤怠とシフトを一元管理することで、複数のシステムや画面を行き来する手間がなくなり、バックオフィスの業務負担を軽減できます。
さらに、システムによってはスマートフォンからのシフト申請も可能で、従業員の利便性向上にも繋がります。
休暇管理
有給休暇や特別休暇の申請・承認プロセスをシステム化し、適正な休暇管理を行う機能です。従業員はスマートフォンやPCから簡単に休暇を申請でき、管理者はリアルタイムで取得状況を確認できます。これにより、休暇の申請から承認までのプロセスが短縮されるだけでなく、管理者は手間をかけることなく適正な休暇管理ができるようになります。
法令遵守対応機能
法令遵守対応機能は、労働基準法や働き方改革関連法に対応する機能です。この機能では、時間外労働の上限規制や、年5日以上の有給取得義務などを適切に管理できます。これにより、企業のコンプライアンス強化に加え、従業員のワークライフバランス向上にも繋がります。
大手企業によくある勤怠管理の課題
大手企業では、従業員数の多さや勤務形態の多様化により、勤怠管理の課題が複雑になりがちです。社会的信頼の低下や法的リスクを招かないためにも、労働基準法や時間外労働の規定を厳格に遵守することが求められます。本章では、大手企業特有の勤怠管理に関する代表的な課題について詳しく解説します。
部門や従業員ごとの多様な働き方への対応が難しい
コロナ禍を経て、多くの企業が在宅勤務や時差出勤を導入しました。使用している勤怠管理システムが、部門や従業員によって異なる働き方に対応できていないケースが多いです。
大手企業にはフレックス・裁量労働・変形労働・在宅勤務など多様な雇用形態・勤務形態があります。表計算ソフトで別管理する場合、勤怠管理の手間が増え、誤入力や修正対応に手間がかかるという課題が生まれます。
従業員の労働時間をリアルタイムで正確に把握できない
労働時間の集計を手作業で行ったり、モバイル非対応のために外出先での打刻ができなかったりすると、従業員の勤務状況をリアルタイムで把握することは困難です。その結果、長時間労働の傾向にいち早く気づけず、過重労働や法令違反を未然に防ぐのが難しいという課題があります。
勤怠管理業務に多大な労力がかかる
大手企業は従業員数が多いため、勤怠管理にかかる労力も膨大です。たとえば、勤務時間や休暇申請の際に入力補完機能がないと、従業員が毎回手作業で情報を入力しなければなりません。入力ミスが発生しやすくなり、人事担当者は修正や一件一件の確認作業に多くの時間を費やすことになります。
さらに、モバイル対応していないシステムでは、外出先や移動中に申請ができず、申請の遅れや承認プロセスの停滞が起こりやすいです。それに伴う問い合わせ対応など、日々の煩雑な作業に追われることで、人事・労務部門は本来注力すべき業務に時間を割けなくなります。
大手企業がクラウド型勤怠管理システムを導入するメリット5つ
近年、クラウド型の勤怠管理システムを導入する企業が多くなっています。
大手企業では、多数の従業員の多様な雇用形態や申請手続き、長時間労働の未然防止に対応する必要があります。こうした課題を解決するためにおすすめなのが、クラウド型勤怠管理システムです。ここでは、クラウド型が大手企業に適している理由とそのメリットについて解説します。
1. 複雑な雇用・労働形態が一元管理できる
フレックスタイム・裁量労働制・変形労働時間制・在宅勤務など、多様な勤務形態をひとつのシステムで一元管理できるだけでなく、データを一元化できるため、管理の手間を削減できます。
特に、各地に支社を持つ大手企業や出張が多い企業、在宅勤務を導入している企業には、クラウド型が適しています。クラウド対応の勤怠管理システムなら、外出先やリモートワーク中でもリアルタイムで打刻が可能です。
2. サポート機能で従業員の長時間労働を把握・抑止できる
クラウド型勤怠管理システムでは、管理者がいつでもどこでも従業員一人ひとりの労働時間を正確に把握できることに加え、時間外労働の上限に近づくとアラートで通知機能や不正打刻を防ぐ機能が備えられています。これにより、長時間労働の防止や労務リスクの低減を効率的に行えます。
特に大手企業では、従業員数や影響範囲が大きいため、従業員全体のワークライフバランスを推進するしくみづくりが重要です。長時間労働の抑制と適切な労働環境を整備することは、企業のブランド向上や優秀な人材の確保・定着にも繋がります。
3. いつでもどこでも利用可能・従業員の入力負荷を補完機能で軽減できる
クラウド型勤怠管理システムなら、スマートフォンやPCから簡単に打刻・申請が可能です。さらに、システムが関連データを自動補完する機能があるため、従業員が手入力する手間を最小限に抑えられます。
また、統合型や他システムとの連携が可能なシステムなら、一度のログインで複数の関連システムにアクセス・連携ができるため、二重入力や確認作業の負担を大幅に軽減できます。
大手企業では、部署や拠点をまたいで多数の従業員がシステムを利用するため、誰もが迷わず使える入力環境の整備が欠かせません。こうした補完機能は、全社的な業務効率化と運用の安定化に重要です。
4. 自動的なアップデートでスムーズに法改正に対応
クラウド型の勤怠管理システムは、法改正に合わせて自動的にアップデートするものが多いため、企業側で追加のシステム開発やメンテナンスを行う必要がありません。常に最新の法規制に対応した状態を維持できるため、管理担当者の負担をかけずに、企業のコンプライアンスリスクを軽減できます。
大手企業にとってコンプライアンス遵守が徹底されることは、企業の信頼性や社会的責任を果たすために重要です。
5. システム連携により管理部門の業務効率向上に繋がる
クラウド型の勤怠管理システムは、給与計算システムなど外部システムと連携が可能なものが多いです。給与計算・人事評価・労務管理システムと連動していることが多く、手作業での転記や集計、確認作業を削減でき、ミスの防止にも繋がります。
大手企業では、従業員数が多く、拠点や部門も複数にまたがるため、情報の効率的な集約や整合性の担保が求められます。システム連携によって一元管理を実現することで、管理部門の業務を効率化し、スピーディかつ正確な対応が可能です。
勤怠管理システム導入成功のためのポイント3つ
勤怠管理システムの導入を成功させるためには、現状の業務プロセスを分析し、必要な機能を明確にすることが不可欠です。また、導入するシステムが自社の業務に適しているかを評価し、コストと導入効果を試算することも重要です。
1.業務分析(As-is/To-be)や機能要件の作成
システム導入の第一歩は、現状の業務プロセス(As-is)を正確に把握し、理想の業務プロセス(To-be)を定義することです。この段階で、業務担当者やIT部門と連携しながら、必要な機能をリストアップし、システムに求める機能要件を作成します。
たとえば、従業員が手作業で出退勤を記録している場合、ミスや改ざんのリスクが高まります。これを解決するために、リアルタイムでの打刻管理や自動集計機能が必要かもしれません。また、多様な勤務形態(フレックスタイム、リモートワーク、シフト制など)に対応するために、柔軟な勤務パターン設定の可能なシステムが求められるでしょう。
2.パッケージ適合度調査(Fit & Gap)
次に、候補となる勤怠管理システムが、自社の業務要件にどの程度適合しているかを評価する「Fit & Gap分析」を行います。これは、システムの標準機能(Fit)と、自社独自の要件とのギャップ(Gap)を洗い出し、適合度を見極めるプロセスです。
たとえば、従業員の勤務形態が多様な企業では、標準的な勤怠管理システムではすべてのニーズを満たせない場合があります。その場合、追加のカスタマイズが必要になることもあるため、カスタマイズ可能な範囲や追加コストを事前に把握することが重要です。
一方で、統合型や他システムと連携できる勤怠管理システムを選択することで、カスタマイズに伴う導入コストや運用負担を抑えることも可能です。適合度を見極めるプロセスにおいては、現在のニーズだけでなく、将来的な拡張性やカスタマイズの可能性も視野に入れる必要があります。
3.システム導入効果試算
最後に、システム導入によるコストと効果を試算し、投資対効果(ROI)を明確にしましょう。システム導入には、初期費用だけでなく、運用コストや教育コストなども発生するため、それらを考慮した上で、どの程度の業務改善が見込めるのかを評価する必要があります。
具体的な数字に基づいた経営層への説明材料を用意することで、システム導入の意思決定をスムーズに進めることができます。
大手企業の勤怠管理システム導入事例
ここでは、弊社のお客様事例をもとに、大手企業での実際の導入事例における課題、採用理由、効果をご紹介します。
株式会社プレナス様
株式会社プレナス様では、勤務形態に応じて異なる給与制度を適用しており、これに対応するために複数のシステムを手動で連携していました。この運用が、管理部門にとって大きな負担となっていました。
そこで統合人事システム「COMPANY」を新たに導入。これにより、人事部門の業務工数削減が期待されただけでなく、各店舗のパート従業員が自身のスマートフォンで勤怠申請や確認を行えるようになり、現場の業務効率も向上しました。
詳細は株式会社プレナス様の導入事例記事をご覧ください。勤怠管理での課題や、今後の展望、導入効果について記載しています。
株式会社ミルボン様
株式会社ミルボン様では、従業員の勤務状況がリアルタイムで可視化できず、時間外労働の把握や有給休暇の取得状況の管理が難しい状況でした。また、勤怠データを業務調整や適正人員数の見直しなどの生産性向上に活用できていない、といった課題を抱えていました。
打刻管理から勤務状況の可視化まで統合管理できる「COMPANY 就労・プロジェクト管理」を新たに導入したことで、勤務状況がリアルタイムで把握できるようになり、法令に則った適正な勤怠管理が実現。さらに、従業員自身も勤怠状況を簡単に確認できるようになり、自己管理意識が向上しました。
詳細は株式会社ミルボン様の導入事例記事をご覧ください。勤怠管理での課題や、導入効果について記載しています。
大同特殊鋼株式会社様
大同特殊鋼株式会社様は、全国各地にある事業場や異なる勤務時間帯の従業員を抱えているため、各拠点の勤務状況を一元的に管理することが困難でした。また、社内要望や法改正があるたびにシステム改修が必要となり、その都度追加コストや時間が発生するという課題も抱えていました。
「COMPANY就労・プロジェクト管理」を活用することで、独自の勤務形態や社内ルールにも柔軟に対応できるシステム設計の実現に繋がりました。さらに、COMPANY就労とCOMPANY人事・給与システムの連携により、従業員の勤怠データの加工作業が不要となり、作業時間が従来の3分の1程度に短縮。従業員からは「勤怠入力画面が使いやすくなった」と評価され、現場の利便性も向上しました。
詳細は大同特殊鋼株式会社様の導入事例記事をご覧ください。勤怠管理での課題や、導入効果、今後の方針について記載しています。
企業全体の生産性が向上する、最適な勤怠管理システムの導入を!
大手企業では、複雑な雇用形態や勤務形態、長時間労働の管理、従業員の負担軽減、法改正対応といった特有の課題が存在します。これらの課題を解決するには、勤怠管理システムの活用が欠かせません。特に、クラウド型勤怠管理システムの導入は、どこからでも勤怠データを入力・確認できるという点で最適でしょう。
勤怠管理システムの導入を成功させるためには、事前の業務分析と機能要件の明確化、システム適合度の評価、導入効果の試算が不可欠です。
適切な勤怠管理システムを導入することで、業務効率の向上、従業員の利便性向上、法令遵守の強化など、多くのメリットを得られます。さらに、統合型や他システムと連携可能なものを選ぶことで、勤怠・人事・給与などの業務データを一元管理でき、属人化の解消・内部統制の強化にも繋がります。
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