企業成長の鍵を握る「学びの文化」の醸成 課題と解決策(前編)

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最終更新日 2025年4月28日

企業成長の鍵を握る「学びの文化」の醸成 課題と解決策(前編)

連載 「COMPANY」が支える人的資本マネジメント
「COMPANY」は″企業″と″はたらく人″双方の視点から課題解決を目指すシステムです。「はたらくすべての人が真価を発揮できる社会」を目指している私たちが、どのような社会課題の解決を目指しているのか、どのような思いで製品を開発しているのか、取り組みの一部を知っていただくことで「COMPANY」をもっと身近なものに感じていただけると幸いです。


こんにちは。ソリューションコンサルタントの築地です。
さて今回は、「従業員の学び」がテーマです。企業成長の鍵となる学びの形と、その課題、解決のヒントについて整理します。また、理想的な「学びの文化」の醸成を支援する「COMPANY」機能の概要を前編と後編に分けてご紹介します。

企業成長の鍵を握る「学びの文化」の醸成

WHIの調査では「勤務先の学びの支援に満足していますか」という問いに対して、「満足している」という回答が45.8%でした。また、「勤務先の研修や学びは仕事・キャリアに活かされていますか」という問いに対して「はい(活かされている)」という回答が38.6%でした。
半数弱が、学びの支援には満足しているものの、仕事やキャリアへの活用には疑問を抱いている様子がうかがえます。

研修や学びが仕事・キャリアに活かされていない理由については、「評価や報酬へ連動しないから(43.2%)」とする回答が最も多く、次に「昇格やキャリアアップに繋がらない(34.4%)」「自分の業務レベルや成績の向上に繋がらない(32.3%)」という結果でした。

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従業員の声から、研修や学びを仕事に活かしてもらうためには、評価や報酬、スキルアップとの関連性を高めなければならないことがわかります。

※(調査期間)2022年10月5日~10月7日、(調査対象)従業員数500名以上の企業に勤務する会社員1,082名、(有効回答数)従業員数500名以上の企業に勤務する会社員1,082名、(調査方法)インターネットを利用したアンケート調査

一方で、企業からみた学びについてはどうでしょうか。
現代のビジネス環境は、テクノロジーの進化や市場の変化が急速に進んでいます。このような状況下で企業が持続的に成長し、競争優位を維持するためには、従業員一人ひとりが絶えず学び続けることが必要です。しかし、単に知識を得るだけの学びや短期的な視点の学びでは不十分です。実践的で応用が効き、従業員が自ら学んで成長する、多角的な学びが欠かせません。いま、企業に求められている人材育成とは、「企業成長に繋がる学び」を促進するための環境・文化を提供することだといえます。

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このコラムでは、企業成長に繋がる学びのための環境や文化を「学びの文化」と呼び、企業がどのようにして「学びの文化」を醸成できるかを探ります。

前編では、「学びの文化」が実現されている状態の具体的なイメージを共有し、その実現を阻む要因、課題解決のポイントや具体的な施策例について解説します。

従業員一人ひとりが学び成長する企業を実現するために、ぜひ本記事をヒントとしてご活用ください。

「学びの文化」が醸成されている状態とは

「学びの文化」が醸成されている状態とは、組織全体が継続的な学習と自己成長を重要視し、それが自然に実践される環境を指します。具体的には、以下のような状態です。

1. 従業員が自ら進んで学びの機会を探し、自己成長を求める意欲が高い
学ぶことが義務ではなく、個人の興味やキャリアアップに直結していると感じられます。

2. 失敗を恐れず、新しい挑戦を歓迎する文化が根付いている
挑戦を奨励する風土では、従業員が積極的に新しいプロジェクトに取り組み、アイデアを発展させます。

3. 組織内での知識やスキルの共有が活発に行われる
社内の壁を越えて、互いに学び合い、サポートし合います。

4. 学習プログラム、ツール、学びに費やせる時間などが充実している
学習コンテンツや学習時間の確保を組織が積極的に支援します。

5. 学びの成果が、業績や個人のキャリアにどのように貢献しているかが明確である
学んだことが実践され、組織の成功に直結し、評価されることを実感できます。

6. 経営陣やリーダーが率先して学びの重要性を示し、学習活動に参加する
上層部の姿勢が従業員に学びの重要性を再認識させ、持続的な成長の維持に繋がります。

このような「学びの文化」が根付いた環境では、従業員が常に進化し続け、新たな挑戦に対応する力を持つため、結果として企業の持続可能な成長が期待できます。

次のセクションでは、「学びの文化」を妨げる要因について考察します。

「学びの文化」の醸成を妨げる要因

企業が成長し続けるために不可欠な「学びの文化」ですが、その醸成を妨げるいくつかの要因があります。「学びの文化」を着実に定着させるためには、これらの要因を理解し、解決することが重要です。

1. リソースの不足
学びのための適切なリソース(学びのための予算や時間)が不足していると、「学びの文化」を醸成できません。「学び」の重要性を企業が理解し、適切にリソースを投資する必要があります。

2. トップダウンの文化
従来の指示命令型の組織文化では、従業員の自主的な思考や創造性が抑制されることがあります。このような環境では、新しいアイデアや革新が生まれにくくなります。

3. 失敗に対する恐怖心
多くの企業文化は、失敗を避けるように設計されています。ただ、失敗を極度に恐れる風土は、新しい挑戦を阻害し、従業員が必要以上にリスクを抑える原因となります。学びは挑戦と実験によって得られる部分が大きいため、失敗を恐れない環境が不可欠です。

4. 短期的成果を優先する文化
目先の業績や売上を重視しすぎる場合、長期的な学びや人材育成が軽視されがちです。短期的な目標達成が最優先となっている組織では、新しい知識の吸収や投資が滞ってしまいます。

5. 閉鎖的な組織構造
部門間の交流が少ない場合、情報や知識の共有が妨げられます。これにより、部門間の協力が不足し、全社的な学びの流れが断ち切られることがあります。組織のサイロ化は、革新を阻害する大きな障壁です。

6. 学ぶことが評価されない
学びや成長が日常業務の評価基準に組み込まれていないと、従業員は学びに対するインセンティブを感じにくくなります。新しいスキルの習得や自己開発に時間を割いても、その努力が昇進や報酬に結びつかない場合、取り組みの優先順位が下げられます。

これらの要因を認識し、適切に対処することで、企業は長期的な成長を確実なものにすることが可能です。次章の「課題解決のポイント6つ」では、これらの要因にどう対処するかを詳しく見ていきます。

課題解決のためのポイント6つ

「学びの文化」の醸成を阻害する要因に対して、解決に役立つポイントを詳しく解説します。具体的なアクションの事例もあわせて紹介します。

1. リソースの確保

(施策例)
・予算の割り当て
 学習プログラムやトレーニングのために、年度予算の中から資金を割り当て、目的を明確にします。

・時間管理の見直し
 定期的な学習のための時間を従業員の業務スケジュールに組み込むことで、従業員が参加しやすくします。

2. 参加型の学習文化の構築

(施策例)
・ワークショップや討論会の開催
 定期的にテーマ別のワークショップを開催し、自由に意見交換できる場を提供します。

・従業員の意見収集
 従業員からのフィードバックを積極的に収集し、学びのプログラムに反映します。

3. 失敗を歓迎する風土づくり

(施策例)
・失敗事例の共有会
 失敗をネガティブに捉えるのではなく、学びの機会として皆で共有できる場を設けます。

・リスクテイキングの奨励
 新しいアイデアやプロジェクトの提案を奨励し、失敗してもそのチャレンジ精神を評価します。

4. 短期の成果だけでなく成長を重視

(施策例)
・目標設定の見直し
 長期的なビジョンに基づく目標を設定し、それが日々の業務とリンクするように指導します。

・プロセス重視の報酬制度
 成果物だけでなく、そこに至るまでのプロセスも評価する制度を構築します。

5. 社内全体での知識共有

(施策例)
・デジタルプラットフォームの利用
 社内におけるナレッジシェアリングを促進するため、デジタルツールやプラットフォームを活用します。

・メンター制度の導入
 経験豊富な従業員がアドバイザーとして若手を指導するメンターシッププログラムを展開します。

6. 学びを重視し評価する

(施策例)
・学びの実績を可視化
 学習がどのように業務やキャリアに活かされたかを見える化し、それを評定の一環とします。

・学び自体を重視する評価制度
 成長に繋がる学びを適切に評価し、報酬や昇進に結びつけます。


これらのポイントを積極的に取り入れることで、「学びの文化」が醸成され、企業全体の継続的な成長を支援できるでしょう。

後編では、「学びの文化」の醸成を支援する「COMPANY」機能の詳細をご紹介します。

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