人事業務をアウトソーシングするメリット・デメリットとは?失敗しないために押さえておくべきポイント

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最終更新日 2024年2月22日

人事業務をアウトソーシングするメリット・デメリットとは?失敗しないために押さえておくべきポイント

人事給与のアウトソーシング市場は現在、市場規模も過去に比べて増加し、かなりの盛り上がりを見せています。

その背景としては、就労人口が減っていることから、人材の確保が難しくなっており、貴重な社内の人間をよりコアの業務へと配置する流れが生まれていることが挙げられます。また、なるべく固定費を減らしていきたい、という考えの企業が増えていることも理由の一つです。こういった考えから、間接業務を外だしする機運が高まっています。
特に大企業は、間接業務にかかる経費をより圧縮する傾向にあるため、アウトソーシング事業への需要は非常に高まってきています。

また、国が推し進める税制改正やストレスチェックの義務化、働き方改革等といった施策に関連して、アウトソーサーがそれぞれ関連サービスを提供・拡充し、シェアを獲得してきつつあることも市場が盛り上がりを見せている理由の1つです。

本記事では、今この熱い、アウトソーシングのメリット・デメリットは何なのか、どうすればよいアウトソーシングができるのかについてご紹介します。

 

目次

アウトソーシングのメリット
アウトソーシングのデメリット
人事のアウトソーシングを成功させるためのポイント
COMPANYのアウトソーシング
まとめ

 

アウトソーシングのメリット

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①費用の抑制・削減

よく挙げられるメリットである費用の抑制・削減。
自社での人件費が高い場合は、外部に安価で委託することによって、人事・総務サービスの人員・経費の抑制・削減効果が見込めます。

②コア業務への特化

外部に出せる間接業務等は、人事部や総務部内でその業務を担っていた自社の人材を、人事制度の策定や教育研修、採用、はたまた人事以外の業務等のよりコアとなる業務に特化して従事させることが可能になります。
また、人事部に限った話ではありませんが、法律や行政手続きは複雑かつ年々変わるものであるため、キャッチアップにも工数がかかります。そういった複雑な業務ノウハウを自社内に保有し、引き継いでいく、といった工数をなくしていくことも、他の業務やコア業務に専念することを可能にします。

③専門性の獲得

たとえばカフェテリアプラン等の社内ではまかないきれない部分を専門業者に任せます。そうすることで、そのノウハウを活用した業務効率化や、従業員サービスの向上を図ることができます。

④リスク分散

災害等が起こった場合に、すべて同じ場所・会社で業務を行っていた場合、その業務が回らなくなってしまう可能性があります。ですが、業務実施場所や人員を分散しておくと、災害時においても業務継続性が担保できるというメリットがあります。

 

⑤人事部のテレワークの実現

ここ数カ月のコロナ禍において「人事部の在宅勤務率は3割」と言われる等、他部門に比べて在宅勤務がしづらいという状況がありました。
その原因には、「センシティブな情報を扱う」「人事システムが会社でないと使えない」「証明書の発行等結局紙が残る」といったことが挙げられますが、これらもアウトソースすることで解決することが可能です。
もちろん、自宅でも人事部の方が働けるようペーパーレス等に取り組むことも大事ではありますが、その取り組みには時間がかかります。今後どうなるかわからない時代においては、すぐに働き方を変えられることも1つのメリットと言えるでしょう。

このように、アウトソーシングのメリットは多くあります。
では、逆にデメリットにはどのような点が挙げられるのでしょうか。

 


 

アウトソーシングのデメリット

アウトソーシング、つまり業務を外だしすればその業務をすべてやらなくてよいとお思いではありませんか?もちろんそんなことはありません。
導入時のデメリットと導入後のデメリットに分けて詳しく見ていきましょう。
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【導入時のデメリット】

①お客様とアウトソーサー間の認識齟齬による、委託スコープ漏れが生じる可能性がある

給与計算を委託する、と一口に言っても、実際どの業務まで委託するのかをアウトソーサーときちんと握っておく必要があります。
漏れを起こさないためにも、ヒアリングフォーマット・課題管理表・WBSといったコミュニケーションツール等、認識齟齬をなくすためのツールやしくみを利用することが大切です。
 

【導入後のデメリット】

続いて、導入した後に発生する課題・デメリットです。
アウトソーサーのサービス形態・提供システム・業務の質等によって異なりますが、大きく分けて3つあります。

②外だししたがゆえに手間がかかる/忙しくなるケースがある

たとえばデータ連携。社会保険、労働保険、事業所税、決算等、給与業務を元に連携すべき業務が給与計算を外に出していると分断されてしまうため、再集計の手間が発生してしまいます。そうするとデータベースが並立して存在することになるため、重複情報が多く、メンテナンスもその分複数行わなければならない等、今までかからなかった手間がかかってきてしまいます。

また、給与計算についても、元のデータや変更データをアウトソーサーに渡す必要があるがゆえに手間がかかる、そしていつもよりも早い締切でデータを締めなければならないため、今まで以上に給与締めの前の期間が忙しくなってしまうケースも考えられます。さらに、間に合わなかった場合には組戻しが発生する可能性もあり、アウトソースをしたのに結局余計に手間がかかってしまった、というケースもあります。
そしてもちろん、アウトソーサーも同じ人間ですので完璧ではありません。ミスも十分起きうるため、結果のチェックやミスがあった時の対応等を行うことも追加の手間として挙げられます。

③情報漏洩の可能性がある

アウトソーシングは会社の外にデータを渡すことになるため、情報漏洩リスクへの対策が必要となってきます。
特に人事業務のアウトソーシングとなると、かなりセンシティブな情報となるため、注意が必要です。
 

④情報の一元管理が難しくなり、戦略人事やタレントマネジメントの実現が難しくなる

データベースを共有できるようなアウトソーサーであれば問題ありませんが、たとえばデータを外部に渡す際にExcel等でやり取りをしていると、それぞれのデータが断片的となってしまいます。それにより、いざ分析や活用を行う際にうまくまとまっていない、という事態が起こることがあります。

データがうまくまとまっていないと下記のような問題が起こります。

・欲しいタイミングでデータの分析ができないため、新しい戦略的な人事制度を考えたいのに、元となるデータを出すのに時間がかかって思うように進まない。
・適材適所の人員配置をしたいのに、過去のデータが分断されてしまっていてうまく分析ができない。このような状況になると、いくらコア業務に時間が割けるようになっても本末転倒になってしまいます。

 

人事のアウトソーシングを成功させるためのポイント

それでは実際、デメリットを乗り越えてアウトソーシングを成功させるためにはどうすればよいのでしょうか。
 

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①目的に合致したサービス形態を提供するアウトソーサーを選定する

自社がアウトソーシングする目的を明確にしたうえで、目的に合致するサービス形態を提供するアウトソーサーを選定することが重要です。

アウトソーサーのサービス形態は大きく分けて3つあります。

計算センター:
データ作成はお客様、それ以降(計算処理・帳票印刷等)をアウトソーサーに委託する形式です。
アウトソーサーが法改正対応をしてくれるので、お客様側に専門知識は不要です。

給与業務代行:
データ作成(月次変動・勤務集計データ等)以降をアウトソーサーに委託する形式です。
お客様は企画立案業務に集中しやすくなります。

給与部門代行:
給与業務全般をアウトソーサーに完全委託する形式です。お客様は自社のコア業務に集中しやすくなります。
 

②アウトソースする業務領域を厳選する

人事部の業務内容には、アウトソースしやすい領域とアウトソースしにくい領域があります。一般的に、人事業務はアウトソースしにくく、給与業務はしやすいと言われています。
また給与業務の中でも、住民税と年末調整のみアウトソースしている・したいという事例も多くあります。
このため、目的と予算に照らし合わせて、アウトソースする効果が高いと思われる業務領域に厳選してアウトソーシングを実施されることをおすすめします。
 

③アウトソースする業務領域を整理する

アウトソースするにあたって、そもそも業務フローが不明瞭なままでは委託範囲が明確にならないため、認識の齟齬が起きたり、期待した効果が得られなかったりといった可能性があります。
そうならないために、まずはその領域での業務フローをきちんと整理してあげることが大切です。
業務整理をすると、不要な業務が見えてきたり、より効率的な業務の仕方が見えてきたりするため、極端な話アウトソースをしなくても効率化できる、という話になるかもしれません。もちろん、業務整理をしたうえで委託をすればより一層アウトソーシングの効果も高まるため、この方法は非常におすすめです。

④アウトソースした場合、結果の振り返りを実施する

アウトソースして一定期間が経った後は、当初に設定した目的がきちんと達成されたかを振り返り、今後どうするかを検討することも非常に大切になってきます。
振り返りのポイントは下記の通りです。

・アウトソーシングに期待したこと(狙い、目的)を振り返る
・結果、期待以上だったのか以下だったのかについて、コスト等を元に具体的に表す
・アウトソーシング前に戻ってやり直すとしたら、何に注意して契約するか?または、むしろアウトソーシングをしないのか?を確認する
・今後のアウトソーシング戦略をどうしていきたいかを考える

また、予め振り返りを実施する時期を決めておくこともおすすめです。
 

⑤インソースに戻したくなった場合に備えておく

念のためではありますが、「一度アウトソースしたものの意外と手間がかかって面倒なので内製したい」と思ったときに戻せる環境にしておくことも1つのポイントです。
以下はインソースに戻したくなる理由と、戻す場合のハードルの一例です。

【インソースに戻したくなる理由】
・コストパフォーマンスが悪い
・アウトソーサーのミスが多いのでチェック工数がかかる
・他社とのやり取りをするのでバッファを持つ必要がある、またイレギュラーな社員への対応が難しい

【インソースに戻す場合のハードル】
<上位層の目線>
・実働する人が社内に増えるため、その調達をする必要がある
・システムを変更する場合、その費用がかかる
<担当者の目線>
・今まで実施していなかった分の作業を実施することになるため、精神的に拒否感がある
・不明点が発生するため、アウトソーサーとやり取りをして解消しないといけない

こういった理由が実際に出てきた場合にハードルを越えられるよう、頭の片隅に、戻す場合の意識を持っておくことをおすすめします。

こういった点を意識していれば、アウトソーシングを比較的成功へと導くことができるはずですので、これから導入を検討される方はぜひ、上記を踏まえて検討されてみてはいかがでしょうか。

COMPANYのアウトソーシング

弊社は人事システム「COMPANY」を扱っていますが、COMPANYを使ってのアウトソーシングも可能です。人事システムを入れたものの、やはり人事部内で人が足りない、もっと他の業務に時間を割きたい、そういったお客様へのアウトソーシングサービスを子会社であるワークスビジネスサービス(以下、WBS)が提供しています。

提供サービス

提供しているサービスは「DX-1」という給与業務の受託サービスと、主にIT部門向けのサービスとして「C-SOX」というシステム保守の受託サービスの2つです。

ご提供できるメリット

WBSが行うアウトソーシングサービスにおいては主に3つのメリットをご提供できます。
 

①アウトソース領域のブラックボックス化を防げる

WBSでのアウトソーシング業務におけるプロセス管理では、人事給与アウトソーシング業界初のデジタルトランスフォーメーション(DX)のサービスを提供・実施しています。

一般的なアウトソーシングにおいては、業務を委託してしまっているがゆえに、どのようにその業務がなされているのか可視化されず、ブラックボックス化してしまうという課題が挙げられます。
しかしWBSにおけるアウトソーシングの場合、お客様は業務フローが見えるアプリケーションを活用してWBS内で行われている業務の可視化が可能です。そのため、アウトソースされた業務のブラックボックス化を回避するだけでなく、業務の進捗状況等をオフサイトでリアルタイムに確認することができます。
また、月次で棚卸レポートを提示することで今後の業務における改善の活動を継続的に行うことも可能です。

 

②人材データベースの一元管理はそのまま実現可能

デメリットの④に挙げた、情報の一元管理が難しいという問題は、WBSのアウトソーシングでは発生しません。WBSではお客様のCOMPANYのデータベースを直接利用するため、COMPANYの強みである人材情報の一元管理、情報の分析・活用はこれまで通り行うことが可能です。また、データベースを直接利用するがゆえにデータの修正が他のアウトソーサーと比較して容易であったり、データを渡すために締め日が早くなり、かえって忙しくなったり、といったデメリットをなくすことができます。
 

③アウトソーシングと内製化のいいとこどりができる

弊社とWBSはグループ会社であるため、ワンストップでのご対応が可能です。
よって、何か実現したいことがあった際にはシステムを活用して、人事部内の運用で実現すべきか、あるいはアウトソーシングで実現すべきか、といったことをばらばらに検討する必要がなく、一気通貫して情報共有とご提案が可能になります。コミュニケーションロスもなく、やり取りの内容も蓄積されていくため、情報の活用だけでなく引き継ぎも容易に行うことが可能です。
 

まとめ

アウトソーシングにはメリットもデメリットもあるため、自社においてメリットが勝つのか、デメリットが勝つのか、きちんとそれぞれを比較して、導入の有無を考えていきましょう。そしてメリットが勝つ場合は、アウトソーシングを人事部の皆さんの業務が少しでも楽になる、その選択肢のひとつとして考えてみられてはいかがでしょうか。

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