年末調整の控除証明書電子化、導入の実態は?2021年最新情報もご紹介

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最終更新日 2023年10月26日

年末調整の控除証明書電子化、導入の実態は?2021年最新情報もご紹介

2020年の年末調整から、保険料控除や住宅取得控除の証明書類について、電子データでの提出が可能となったことで、より一層年末調整電子化が進むことが期待されていました。

しかし、実際には対応する保険会社の数が限られていることや、2020年は初のコロナ禍での年末調整実施だったこともあり、大幅なオペレーションの変更を行うのは難しい状況だったようです。

 

そのような中、WEB上での年末調整申告が可能なシステムを提供し、デジタル化を推進する当社は、電子化拡大の動きを加速させていくためにも、まずは当社自身がこの新制度の運用に挑戦。ユーザーの皆様への情報発信や、関係機関へのフィードバックを行うべきと考え「年末調整電子化チャレンジ!」を実施しました。

 

本記事では、2020年度に当社で実施した「年末調整電子化チャレンジ!」の様子と、2021年の年末調整のポイントをご紹介します。

 

年末調整電子化の詳細についてはこちらの記事もご覧ください
年末調整の電子化、本当に実施して大丈夫?気を付けておきたいポイントまとめ

目次

保険料控除証明書の電子化の実態は?
年末調整電子化2年目、保険会社の最新対応状況
COMPANYの年末調整申告機能
年末調整完全電子化に向けた政府・行政へのアプローチ

 

保険料控除証明書の電子化の実態は?

ワークスHIの年末調整電子化チャレンジ!

当社で保険料控除証明書の電子提出に挑戦したのは、2020年の年末調整時です。当社の従業員が実際にWEB上で控除証明書の提出を行い、その結果、以下の課題が判明しました。

 

 ・義務化ではないため保険会社全社が電子媒体の証明書(XMLファイル)提供に対応しているわけではない

 ・どの保険会社・金融機関がXMLファイル提供に対応しているのか一覧がない

 ・XMLファイルのフォーマットが保険会社ごとに異なる

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申告に必要な控除証明書の電子データの取得元である、保険会社側の対応がまちまちな点も、電子化導入のハードルを上げる一因となっていました。

 

ユーザー企業におけるWEBを利用した年末調整の実態は

加えて、ユーザーの人事部様からは、下記のような声が寄せられました。

「2020年は法改正が多く、例年に比べ申告者・担当者に混乱が」

「新型コロナウイルスの影響で、初のテレワークでの年末調整となった」

当社で実施したユーザーアンケートによると、2020年の年末調整で、控除証明書の電子提出を認めた企業は2割強(一部対象者に限定して実施も含む)。

従業員への案内までは実施したが、実際に電子データで提出まで完了したケースは数件にとどまったとの声もありました。

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[参考]2020年度年末調整におけるユーザー様の控除証明書の電子提出対応状況(2021年2~5月開催、第32回CWS分科会「年末調整」事前調査票より)

 

WEB上で控除証明書を提出するメリット

そもそも、控除証明書を電子提出するメリットはどこにあるのでしょうか。

人事担当者にとってはなんといっても、証明書内容の転記や申告後のチェックが不要になる点です。

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申告書と証明書を突き合わせて正しく記入されているかのチェックや修正の手間に加え、証明書原本提出状況の管理・督促等を含め膨大な工数がかかっていた部分が「0」になることが期待されます。

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従業員にとっても、保険の種類・受取人・保険料等を申告書に転記または、WEB上で申告システムへぽちぽち入力する必要がなくなり、加入している保険会社から入手したXMLファイルを添付するだけでよくなるため、申告の煩わしさを軽減できます。

 

上記のように、人事担当者・従業員双方にメリットはあります。ですが、当社の検証やユーザー様のアンケートでみえた課題から、初年度である昨年控除証明書の電子提出に踏み切った企業は多くないという状況がうかがえました。

 

年末調整電子化2年目、保険会社の最新対応状況

年末調整の電子化に対応できる保険会社一覧

「どの保険会社・金融機関がXMLファイル提供に対応しているのか一覧がない」というユーザー様の声をご紹介しましたが、2020度、当社では独自に対応保険会社を調査し、ユーザー様向けに情報を公開いたしました。

 

2021年の年末調整に向けては、XML形式の控除証明書をマイナポータル経由で取得が可能な保険会社・金融機関を、国税庁のホームページで確認できるようになっています。

 

国税庁ホームページ「マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧」

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/list.htm

 

一方、上記ページに記載のない保険会社については、2020年に引き続き当社独自に調査を実施。2021年は新たに生命保険会社で4社、損害保険会社で7社がXMLファイル形式での提供に対応するとの回答を得ました。

 

▼2021年10月現在における対応予定社数(対応有無未定は除く)

 

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WEB上での実際の取り込み画面をご紹介

当社で提供している人事システム「COMPANY」の年末調整機能では、2020年の法改正に合わせてバージョンアップを行い、XMLファイルの取り込みが可能となっています。

実際に、COMPANYでWEB上から保険料控除証明書のデータを取り込む流れをご紹介します。

 

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この機能を利用してWEB上での申告を行った従業員にアンケートを実施したところ、「例年より簡単だった」「例年より手間がかからなかった」という声が多数を占めました。XMLファイルさえ取得できれば、WEB上では取り込むだけとなる点について、利便性の向上を感じているとのことです。

また次年度以降は紙か、WEB上でXMLファイルを取り込む形式のどちらを利用して申告したいかという質問をしたところ、回答者全員がXMLファイルを選択する結果となりました。

 

COMPANYの年末調整申告機能

COMPANYでは、XMLファイルの取り込み機能の開発も含め、年末調整の電子化推進、人事部門の業務負荷軽減のために、法改正対応は勿論、2003年の年末調整WEB申告機能のリリース以来、20年近く機能アップデートを続けています。

以下、COMPANYの年末調整機能の一部画面を特長とともにご紹介いたします。

 

特長①:人事マスタと連携し、登録情報を基に申告可能

COMPANYの年末調整は、人事管理・給与計算システムと一体型のため、人事マスタで持っている個人情報を基にして従業員がWEB上で申告を行うことができます。

 

住所や扶養家族の情報も自動で申告書に反映できるため、従業員はわざわざ自分で入力しなくても、変更がなければWEB画面でチェックするだけで申告書の提出に進めます。もし登録情報に変更があった場合は、「本人情報の変更」「家族情報の変更」等の申請を提出するようにWEB画面上でガイド。

従業員が申請を行った内容は、人事マスタにも反映されるため人事部側で再度情報修正を行う手間も不要です。

 

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あらかじめ人事マスタで保持している情報を表示

 

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修正がある場合は、そのまま個人情報変更の申請に遷移可能

 

特長②:従業員が迷わない!ナビゲーションモードで簡単申請

従業員は、WEB上のナビゲーションに従って進めていくだけで必要な手続きが完了します。年末調整の複雑なルールや、各種専門用語(寡婦・ひとり親等)、税制度に対する知識がなくても、簡単に申請が可能です。

人事担当者にとっても、誤申告や問い合わせの抑止につながります。

 

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ナビゲーションモードを選択または慣れている人はそのまま申告書の入力画面へ

 

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画面に表示される質問に回答するだけで必要な申告を漏れなく提出

 

特長③:年末調整の申告内容はそのまま給与計算機能に連携

COMPANYは統合型のシステムであるため、年末調整機能も給与計算機能のひとつのサブシステムとして存在しています。

従業員の申告内容を基に給与計算を行い、還付・徴収につなげることが可能です

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給与明細画面

 

おまけ WEB入力でも迷わせない、金額は自動計算でOK

従業員の負荷軽減のため、申告書の入力画面ひとつとっても迷わせない工夫がされています。たとえば、住宅控除の入力画面は、金融機関から発行される残高証明書と同じレイアウトになっています。転記の手間やミスを減らす細かな工夫のひとつです。

さらに、控除額は自動計算なので、人事部門でのチェックの手間も省けます。

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住宅取得控除の入力画面

 

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スマートフォンからの申告にも勿論対応

 

年末調整完全電子化に向けた政府・行政へのアプローチ

当社では、年末調整の完全電子化による、人事部門の負担軽減・業務効率化推進のため、下記2点の政府・行政アプローチを行ってきました。

 

①デジタルガバメントに関係する政府・行政関係者へのアプローチ

2020年、与党内でデジタルガバメント実現に向けて中心的な役割を果たしている、(当時)自由民主党政務調査会デジタル社会推進本部事務総長 小林史明衆議院議員に、当社でのXMLファイル提出実施結果を共有。その結果、自民党から政府に提出する提言の文言案作成の依頼を受けました。当社にて提出した文言案は、「デジタル庁創設に向けた中間提言」内にて採用されています。

 

②COMPANYユーザー会「ユーザーコミッティ」のイベント内で行政関係者を交えたディスカッションを実施

COMPANYのユーザー会である「ユーザーコミッティ」のイベント内で『ニューノーマルにおけるデジタルファーストとは~「紙から電子化」だけではない、人事業務・行政手続きの抜本的改革~』と題したセッションを開催。電子化が必要な業務の1つとして、年末調整について内閣官房内閣参事官を交え、完全電子化実現に向けたディスカッションを実施いたしました。

 

2021年も課題を洗い出し、デジタル庁等の関係機関に提案を行う予定です。

  

 

当社では年末調整の完全電子化、人事部門・従業員の負担軽減に向け、引き続き関係各所へのアプローチやユーザーの皆様への情報発信を続けてまいります。

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