在宅勤務/テレワークにおける人事評価制度の見直しに必要な考え方とは

公開日 2020年9月11日
更新日 2020年10月16日

在宅勤務/テレワークは、新型コロナウイルスによる非常事態宣言が終了した後も継続する企業が多く、新たな働き方として定着してきました。
そして、これまで実施されていた制度や運用について、在宅勤務/テレワーク前提の見直しを迫られている点があります。

人事評価制度の実施や運用はその一つで、インターネット上やSNSでも、在宅勤務/テレワーク前提の実施における問題点が話題に上がることが多くなってきたようです。

また、それに合わせて多くの解決手法が論じられていますが、本記事では改めて見直しに必要な問題点を整理し、主原因を深堀したうえで、それぞれに対応すべき項目を検討していきます。

 

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目次

 - 在宅勤務/テレワークにおける人事評価制度の問題点を分析する
 - 人事評価制度における問題点が在宅勤務/テレワーク由来なのか分析する
 ・在宅勤務/テレワーク由来の可能性が低い人事評価制度の問題点
 ・在宅勤務/テレワーク由来の可能性が高い人事評価制度の問題点
 - 「業務遂行能力」をベースとした人事評価制度と在宅勤務/テレワークについて考える
 - 人事評価制度の運用見直しで部門コミュニケーションを増やす
 ・従業員のパフォーマンス・モチベーション低下のリスク
 ・人事評価制度の運用を工夫し、リスクを最小化する
 ・
人事評価制度変更だけでは解決につながらない
 - その他人事評価制度の運用時に検討材料となる項目
 - まとめ

 

在宅勤務/テレワークにおける人事評価制度の問題点を分析する

在宅勤務_人事評価制度_イラスト.jpg

部下の仕事の管理や評価において、よく取り上げられる問題点は大きく3点に分けることができます。

 ① 勤務態度や勤務時間など、仕事に対する姿勢
 ② 部下の仕事のプロセスや成果の状況
 ③ 部下とコミュニケーションをとる時間

具体的には下記のような事項です。

 ・部下の勤務態度や仕事ぶりが把握できない
 ・部下と他のチームメンバーのコミュニケーション状況が把握できない
 ・部下のモチベーションや感情面が把握できない
 ・部下の仕事に対する時間の使い方が把握できない
  (本当に仕事しているのか?という不安)
 ・部下の仕事の目的や成果、プロセス状況を細かく把握できない
 ・部下が正しく相談や報告を上げてきているかがわからない
 ・部下と仕事外の雑談や今の仕事とは直接関係ない将来的な目標などを話す機会が減った

もっともな内容ではありますが、果たしてこれらはすべて「在宅勤務/テレワークの定着」が原因でしょうか?
 

人事評価制度における問題点が在宅勤務/テレワーク由来なのか分析する


まず、人事評価制度の問題点としてあげられる項目が、在宅勤務/テレワーク由来なのかどうかをそれぞれ考えてみましょう。
 

在宅勤務/テレワーク由来の可能性が低い人事評価制度の問題点

「部下の仕事の目的や成果、プロセス状況を細かく把握できない」
「部下が正しく相談や報告を上げてきているかがわからない」

「その日に取り組んでいる業務」「何を考え何の目的達成ができたか、あるいは何の目的達成ができず困っているか」などについては、日々のオンラインMTGや業務日報などから読み取れないでしょうか。そのため、在宅勤務/テレワークが原因で人事評価の問題点となる可能性は低いと考えられます。

むしろ、在宅勤務/テレワーク前提であれば、対面や内線電話で発生しがちな、余計な差し込み業務や外出を伴う訪問業務等が少なくなっている可能性が高く、これまで以上に部下と向き合う時間を増やせるかと思います。

在宅勤務/テレワークになって把握がしづらくなった面もある前提で、これまでも把握できていたのか、把握するための仕組みが整っておらず、上司の主観的なジャッジの要素が強くなかったのか、という点については検証が必要でしょう。

当然、物理的に離れていることで、これまで得られていた言葉以外のコミュニケーションによる情報が得られにくいのは事実です。ただ、これによって全く人事評価をすることができなくなるということであれば、そもそもの実施や導入、運用体制に問題点がある、と考えたほうがよさそうです。
 

在宅勤務/テレワーク由来の可能性が高い人事評価制度の問題点

「部下の勤務態度や仕事ぶりがわからない」
「部下の他のチームメンバーとのコミュニケーション状況がわからない」
「部下のモチベーションや感情面が把握できない」
「部下と仕事外の雑談や今の仕事とは直接関係ない将来的なアイデアなどを話す機会が減った」


これらは、在宅勤務/テレワークが原因で人事評価の問題点となる可能性が高いものでしょう。
当然、同じ場所で同じ時間を共有する時間が長ければ、各メンバーの働いている姿を観察したり、周囲とコミュニケーションをとる状況や顔色から察したりする情報も多くなると考えられます。

また、

 ・在宅勤務/テレワークによるオンラインMTGは、どうしても主目的のみの会話で完結するため、相手の深いところまで理解が及びにくい
 ・在宅勤務/テレワークによるコミュニケーションは、どうしても決められたメンバーとの会話となる

といったように、これまでより部下の内面について、部分的な情報による理解が多くなることは想定されます。

一方で、勤務態度や部下のモチベーション・メンタルは、どこまで人事評価に反映するべきなのでしょうか。


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「業務遂行能力」をベースとした人事評価制度と在宅勤務/テレワークについて考える

日本で長く雇用制度と賃金制度を支えてきたのは、「業務遂行能力」をベースとした能力評価や行動評価といった人事評価制度と、それに基づく職能給制度です。

新卒採用から、ジョブローテーションを繰り返して徐々に成長を続ける中で、仕事の目的に対するプロセスや取り組む姿勢と成長、何より企業にどのように寄与できる人材であるかをジャッジする仕組みは、まさに「人」そのものを評価するというものでした。

その一方で、在宅勤務/テレワークの定着は、その内在的な問題点を浮き彫りにします。

能力評価・行動評価では、現実的には、思考の特徴、会話、長所や短所など、勤務中だけでなく、雑談中や場合によっては懇親会など業務外を含めて観察し、成果だけではなく、言葉以外の情報や業務以外のスキルや能力も含めて評価します。
(結果、上司部下の相性やチーム内の立ち位置、目立ち方などの印象によって人事評価にも影響が出ることもある)

ですが、在宅勤務/テレワークが前提となると、人事評価に必要な情報が断片的となってしまいますし、仮に在宅勤務/テレワークの定着以前から在籍していた従業員と、在宅勤務/テレワーク後に異動してきた従業員だと同列に評価しづらくなります。
 

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そのため、この観点で現在の人事評価制度や運用の仕組みについて、不足や改善点がないかを検討することがまずは必要かと考えられます。

例えば、人事評価の項目の中で、「在宅勤務/テレワークでは十分に察知しえない要素を含んだ項目」や「在宅/テレワークの定着以前から在籍していた従業員とそれ以後配属の従業員でどうしても差異が発生する恐れがある項目」がないか検討してみましょう。そういった項目があった場合は評価項目から外す、もしくはウェイトを下げるなどの変更をしてみてはいかがでしょうか。


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人事評価制度の運用見直しで部門コミュニケーションを増やす

在宅勤務/テレワークによる最大の変化とは、周りに人がいないことが原因で主体的・自発的なコミュニケーションが必要となる、という点にあると考えられます。

では、主体的・自発的なコミュニケーションを取ることができないと、どういったリスクがあるのでしょうか。

従業員のパフォーマンス・モチベーション低下のリスク

 ・目的に対する成果のプロセスやアウトプットが誰にも見えない(見えにくい)
 ・困っていても周囲が助けにくい
 ・自己の成長や周囲とのギャップに気づくことが少ない
 ・管理職は自身の指示を徹底できず、メンバーが混乱してしまう
 

上記のような問題点が発生する可能性があり、個人も組織もパフォーマンスを発揮することができなくなってしまいます。

また、一般的には在宅勤務/テレワークの定着以前よりも、従業員が孤立するリスクがあるため、パフォーマンスの低下やモチベーション低下につながることが想定されます。

これを防ぐためには、対応を現場や管理職だけに任せず、会社としてあるいは人事部門としての検討が必要かと思いますが、そのために人事評価制度や運用の見直しで実現できることはないでしょうか。

 

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人事評価制度の運用を工夫し、リスクを最小化する

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そこで我々は、

「人事評価制度と連動し、不足しがちな従業員とのエンゲージメントを重視する」
「人事評価制度と連動して仕事と成長に必要なコミュニケーションを維持できる運用を発信する」


という仕組みを提案したいと考えます。
多くの企業で導入されている目標管理制度を利用して、下記のような運用を導入することはいかがでしょうか。

① 会社が従業員に対して、会社のありたい姿や大事にしたい価値観と、それをもとにした具体的な方針、目標を明確にする
② 管理職は、自部門のありたい姿と具体的な方針、定量的な目標、いずれも上記会社としてのありたい姿や価値観を満たすものを明確にして、各メンバーに対して個々の目標設定とその達成基準を明確に提示する
③ ②の際に、目標設定とその達成基準を「在宅勤務/テレワーク前提で」実施可能なことをベースにして作成するとともに、目標設定とその達成基準に対するアクションプランも「在宅勤務/テレワーク前提」でいつまでに何をするか明確にする
④ ただし、管理職が一方的に決定するのではなく、部下と管理職との双方向コミュニケーションですり合わせる
⑤ 管理職は目標設定した内容に対する達成状況について、個別のMTGを必ず定期的に行い、アクションプランの進捗状況を部下と確認するとともに、内容の齟齬や現実との乖離があれば、目標達成基準に照らして柔軟に見直しや補助を行う


目標設定をした後は、実施状況を把握することが重要です。そのため、目標設定時にアクションプランに落とし込んで表現しておくことと、日々の上司・部下のコミュニケーションで、アクションプランの軌道修正を行うことができる仕組みにしておくことが、変化に柔軟に対応するためには必要と考えます。
 

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人事評価制度変更だけでは解決につながらない

なお、こういった問題点を解決するために、目標管理制度の導入や成果主義の強化、ジョブ型雇用への転換、といった議論も散見されますが、

 ・目標管理制度はすでに70%程度の企業で実施済み
 ・成果項目のウェイトを上げても、成果を出すまでのプロセスにおいて、従業員の孤立やモチベーション維持などの解消は必要
 ・ジョブ型雇用は「職務に人をつける」雇用制度であって、本来の人事評価制度とは全く関係がない
  (職務記述書に記載された業務が達成されたかどうか、なのでジョブ型雇用が実施可能であれば上記の問題はそもそも存在しえない)

など、ただ制度を変更するだけでは、本質的な解決につながらないと思われます。

 

その他人事評価制度の運用時に検討材料となる項目

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・紙ベースの運用の見直し
在宅勤務/テレワーク前提で物理的に解決しなければならないのは、目標や成果を紙で記載する、紙のチャートでフィードバック面談をするといったような紙ベースの運用です。
「紙でなければ無理」「できれば紙にしたい」「電子化可能」「そもそも不要だからこれを機にやめる」と整理し、それぞれの対応方針を決定すると良いでしょう。


・評価者の見直し
直属の部下以外でも能力評価や行動評価の評価者となるケースが多いですが、在宅勤務/テレワークでは上位者はほぼ実態を把握できないと考えられるため、実態把握が可能な評価者以外は承認フローから外すことを検討しましょう。
これにより、評価者の負担を減らすとともに、有名無実な処理段階を減らして人事担当者の業務負荷も低減させることができます。
 

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まとめ

最後に、在宅勤務/テレワークにおける人事評価制度のポイントをまとめます。

① 目標設定やその達成基準は会社の方針に沿ったものとする
  従業員の孤立、パフォーマンス低下や混乱、モチベーション低下を防ぎ、エンゲージメントを重視

② 在宅勤務/テレワークだからこそ、双方向のコミュニケーションを重視
  人事評価だけでなく、管理職の「部下を管理できない」という問題点を解消する

③ 在宅勤務/テレワークであっても、目標設定した内容に対するアクションプランを明確に
  プロセスを評価する能力評価や行動評価と定量的な成果評価を融合し、管理職の「部下を管理できない」問題点を解消する


いかがでしょうか。
これらの実現にあたって、COMPANY人事考課は、人事評価制度見直しのサポートはもちろん、システム上での目標管理やアクションプランの策定、上司部下間のコミュニケーションまで対応することが可能です。
ぜひ活用をご検討ください。

 

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皆さまの検討の一助となれば幸いです。