大手企業の人事業務における生成AI利用に関する意識調査【WHI総研】

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大手企業の人事業務における生成AI利用に関する意識調査【WHI総研】

生成AIの活用は本格的な普及フェーズに入り、単なる業務効率化にとどまらず、具体的な成果を追求する動きが活発化しています。

一方で、当初懸念された情報リスクへの対策が進む中、「導入したものの活用しきれない」「投資対効果が見えない」といった、新たな課題も顕在化しています。

本記事では、2025年8月から10月にかけて56法人64名の方(「COMPANY」をご利用中のユーザー様)にご回答いただいたアンケート結果を基に、生成AIに関するリアルな取り組み状況やその成果、今後の「HRシステムとAIの融合」がもたらす未来について、アンケートを監修したWHI総研(※)による考察とともに解説します。

※WHI総研とは…大手法人人事部の人事制度設計や業務改善ノウハウの集約・分析・提言を行う組織です。

調査概要

調査名
 WHI調査「人事業務での生成AI利用に関するアンケート」2025
期間
 2025年8月14日(木)~2025年10月3日(金)
調査機関
 自社調べ
対象
 「COMPANY」をご利用中のお客様で、
 生成AIの活用に関心のある方、利用中もしくは利用を検討中の方
調査方法
 インターネットを利用したアンケート調査
有効回答数
 56法人64名

1. 企業における生成AI活用の現状

本調査でははじめに、社内における生成AIの公開状況についてお伺いしました。ここでは、その導入・利用の現状を整理し、企業での活用実態を見ていきます。

1-1. 全社公開は1年で倍増。生成AIは「試験導入段階」から「全社運用段階」へ

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生成AIについて、社内で利用できる環境を「全社に公開している」と回答した法人は42法人(75.0%)でした。これは、2024年3月に実施した前回調査の結果(38.8%)からおよそ倍増しています。全社レベルでの活用体制が、1年間で急速に整備されたことがわかります。

また、「一部の役職者のみに公開している」「一部の部署のみ公開している」と回答した法人は合わせて8法人(14.3%)でした。

一部公開を含めると約9割の企業が利用環境を整えており、社内のどこにも公開されていないことを示す「公開されていない」と回答した法人は、わずか6法人(10.7%)にとどまりました。

この1年間で、生成AIは「試験導入段階」から「全社運用段階」へと急速に移行しています。企業は情報リスクを懸念しつつも、生成AIを常時利用しているといえるでしょう。

1-2. 社内で活用する生成AIツールは「Microsoft Copilot」が最多

続いて、回答者が具体的にどの生成AIツールを利用しているかを伺いました。(複数回答可)

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回答者の中で最も利用が多かったのは「Microsoft Copilot」38件でした。次いで「ChatGPT」19件、「Gemini」12件が続き、グローバルで汎用的に使われる生成AIツールが上位を占めています。また、「自社開発アプリ」を活用している回答者も8件あり、特定業務への組み込みや、社内データとの連携を重視した独自開発の動きも見られました。

一方で、情報源(ソース)に基づきAIが質問に回答するNotebookLMや、LLMを活用したチャットボットやワークフローを、ローコードで作成できる開発基盤Difyを利用している回答者も見られました。利用目的に応じたツールの使い分けや、企業における活用ニーズの多様化・具体化が示唆されます。

1-3. 従業員に生成AIを公開しない理由は「全社方針としてのルール整備の遅れ」

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冒頭の「生成AIを社内で利用できる環境を構築し、従業員が使用できるように公開していますか?」という問いにおいて、「公開されていない」と回答した6法人(有効回答数は5法人)へ、その理由を伺いました。(複数回答可)

最も多かった回答は「社内での利用ルールやガイドラインが整備できていないため」(3件)でした。 

次いで、「セキュリティや情報漏洩のリスクがあるため」「回答結果の信頼性に懸念があるため」「他社の動向や成功事例を見てから判断したいため」が、それぞれ2件で同率2位となりました。

この結果から、AIの利用に踏み切れていないこれら一部の企業においては、「全社方針としてのルール整備の遅れ」が、依然として利用の最大のハードルとなっていることがうかがえます。

加えて、「セキュリティや情報漏洩のリスク」や「回答結果の信頼性」といった具体的な懸念、さらには「他社の動向や成功事例を見てから判断したい」という慎重な姿勢も、利用の障壁となっている可能性が推察されます。

1-4. 社内で活用する「AIエージェント」ツールは「Microsoft Copilot」が最多

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今年のトレンドワードにもなっている「AIエージェント」の利用状況ついてもお尋ねしました。(複数回答可)

利用されている方の回答では、「Microsoft Copilot」が16件、「ChatGPT agent 」1件、「自社専用のAIエージェントを利用している」が4件と、実務導入にはまだ限定的な様子です。

「利用していない/把握していない」が29件で最も多く、次いで「AIエージェントというものを知らない」が12件で、これから認知され活用されることが今後の自動化・省力化の鍵となりそうです。

2. 人事業務における生成AIの利用状況

続く設問では、回答者ご本人の人事・労務領域における生成AIの利用状況についてお伺いしました。

2-1. 生成AIは人事部門の個人業務にも広く浸透

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「既に業務で利用している」の回答数は48件(75.0%)にのぼり、前章で示した「全社公開率(75.0%)」と偶然にも同水準でした。

「今後、業務で利用する予定」の回答数を合わせると、実に約9割(89.1%)がなんらかの形で生成AIの活用意向を持っていることが確認されました。一方、「業務で利用する予定はない」と回答した件数は6件(9.4%)にとどまり、生成AIが人事業務にも広く浸透しつつあることが明らかになりました。

2-2. 8割が生成AIを「文章作成」と「壁打ち」に活用

続いて、すでに生成AIを業務で利用している方、または利用予定がある方に、どのような業務で生成AIを活用しているかを伺いました。(複数回答可)

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最も多かったのは「従業員への案内や通知メールのたたき台作成」(47件)で、全体の約8割を占めました。次いで「会議や提案の壁打ち・アイデア整理」(40件)、「施策やセミナーの資料作成(ドラフトや構成の相談)」(24件)が続きました。

これらの結果から、生成AIは「文章作成」や「思考整理」といった“思考支援フェーズ”で活用が定着しつつあります。また、近年は「制度関連のQ&A対応」や「法改正リサーチ」など、問い合わせの自動化や情報収集の領域にも利用が広がりはじめています。

今後は、定型業務の効率化だけでなく、AIをパートナーとした発想支援や施策立案といった創造的な活用が拡大していくと考えられます。

2-3. 生成AI活用を阻む主な要因は「ルール整備やリスク対策の不足」

「人事・労務領域における業務での生成AI利用状況」において、「業務で利用する予定はない」と回答した方に、その理由を伺いました。(複数回答可)

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最も多かったのは「会社としての方針や利用ガイドラインが定まっていないため」(4件)でした。次いで、「個人情報や機密情報の漏洩といったセキュリティ上の懸念が払拭できないため」(3件)が続きました。いずれも「組織としてのルール整備が追いついていない」「情報リスクへの不安が残る」といった共通の課題を示しています。

さらに、「生成される情報の正確性に懸念がある」(2件)、「自社の業務にどう適用すれば効果が出るのか、具体的な活用方法がイメージできない」(1件)といった、“運用面の不安”も挙げられました。

このことから、生成AI活用を阻む主な要因は、上位を占める「ルール」「リスク」と、それに続く「リテラシー(運用面の不安)」の3点に集約されるといえます。

特に人事部門は、個人情報を扱う性質上、セキュリティやコンプライアンス面の慎重さが求められます。一方で、ルール整備やリスク対策を進めることで、将来的には安全に活用できる環境を整備する企業も増えていくでしょう。

2-4.「社内規程・マニュアルなどのナレッジ」データを使う企業が多い

生成AIを活用する際に、どのようなデータを扱っているかを伺いました。(複数回答可)

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「社内規程・マニュアル等のナレッジ」(52件)が最も多く、全体の8割を超えました。次いで「個人情報を含まない統計的な人事データ(例:残業時間の推移)」(32件)、「個人情報を含む個別の人事データ(例:評価・経歴・スキル情報)」(22件)と続きました。

この結果から、企業はまず安全性の高いナレッジや統計データから生成AIの活用を進めていることがわかります。

単に規程やマニュアル、FAQをポータルに掲載して従業員自身に探させる従来の「人事ナレッジの共有」から、これらの掲載物をAIに学習させ、従業員からの問い合わせに対応させるケースが増えつつあります。AIがナレッジを解釈し、個別の質問に対して最適な回答を生成・提示する「人事知識の活用」へと、その役割が進化するでしょう。

さらには、個人情報を含むデータとAIを連携させると回答した件数が22件あり、全体回答の3割程度存在することがわかりました。活用範囲が徐々に「統計分析」から「個別対応」へと広がりつつあると捉えています。

今後はセキュリティ対策とデータ精度を両立させながら、AIを業務支援の中核に据える動きがさらに進むと考えられるでしょう。

2-5. 3社に1社が人事部門への問い合わせをChatbotで運営することに対して、Chatbotを活用した自動応答の取り組みについて伺いました。

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「利用している」と回答した法人は33.9%で、およそ3社に1社がすでにChatbotを活用していることがわかりました。さらに、「利用予定である」(7.1%)と「検討中のため、情報収集している」(21.4%)を合わせると、今後の導入に前向きな企業は28.6%にのぼり、Chatbot活用が今後も拡大していくポテンシャルを示しています。

一方で、この利用率(33.9%)は、人事部門における生成AI全体の利用率(75.0%)と比較すると、半分以下にとどまっています。

この背景には、一般的な生成AIが個人のPC上で手軽に利用開始できるのに対し、全社向けの問い合わせ対応Chatbotは、社内規程の学習や導入プロジェクトの発足などを伴う「組織的なシステム導入」となることが挙げられます。

活用のハードルが高さが、Chatbotの利用率の低さに関係していると考えられるでしょう。

とはいえ、問い合わせ対応の効率化は人事部門にとって重要なテーマです。今後生成AI技術の発展とともに、より手軽で高精度なChatbotが登場することで、さらなる導入が期待されます。

3. 生成AI活用のルール整備と具体的な成果

生成AIの活用が本格化する中で、企業はどのようにリスクを管理し、具体的な成果に繋げているのでしょうか。本章では、社内におけるルール整備の実態と、活用によって得られた成果について見ていきます。

3-1. 生成AI活用における「社内ルールあり」と回答した法人は55.4%

はじめに、生成AIを利用する場合の社内ルールの有無についてお伺いしました。

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「社内ルールあり」と回答した法人は55.4%、「社内ルール一部あり」は16.1%となり、合わせて71.4%の企業がなんらかの形で利用ルールを定めていることがわかりました。これは2024年3月調査(62.2%)から9.2ポイント増加しており、AIの全社的な導入と並行して、適切なガバナンスを構築する動きが着実に進んでいることを示しています。

特に、前回調査で20.0%を占めた「わからない」という回答が14.3%まで減少した点は注目に値します。これは、AI利用に関する会社としての方針が明確化され、従業員へ広く周知されるようになった結果といえるでしょう。

この結果から、多くの企業がAI利用を管理外に置くのではなく、情報セキュリティやコンプライアンスのリスクを管理しながら活用を推進するという、統制の取れたアプローチを選択していることが明らかになりました。

3-2. 生成AI利用者の69.6%は成果を実感

生成AIの利用経験がある方を対象に、利用してみての成果について伺いました。

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総回答数56件のうち、「期待以上」「期待通り」の成果を実感していると回答した割合は合計69.6%に達し、前回調査(50.0%)から大きく伸長しました。

特に「期待以上」と回答した層は約3倍(8.7%→25.0%)に急増し、前回13.0%存在した「成果がまったくない」層が0%になるなど、生成AIが実用的なビジネスツールとして確かな成果を上げていることがわかります。

また、自由回答を見ると、この成功の背景には、文章作成やコーディングにおける「圧倒的な時間短縮」効果に加え、アイデア出しや思考整理を助ける「思考のパートナー」としての質的な価値がありました。

一方で、成果が期待を下回ると感じる約30%の層からは、「活用範囲が限定的」「情報の正確性への懸念」「スキル不足」といった、活用深化に伴う共通の課題が挙げられています。

3-3. 約7割が「成果は出ているが満足できない」

前の設問では、約7割が「期待以上・期待通り」の成果を実感しているという結果でしたが、満足度を見るとあまり高くはありません。

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約7割が成果を実感しているのに対し、満足度が低いのはなぜでしょうか?

理由を探ると、興味深い傾向が見えてきます。NPSが低いのは生成AIへの失望ではなく、むしろその可能性に対する“過大な期待”の裏返しだと考えられます。

多くのユーザーがAIの持つポテンシャルを強く認識しているからこそ、現状の利用環境とのギャップに不満を感じているのです。

自由回答の内容は、主に以下の3つの「壁」に集約されました。

1. 組織・環境の壁

最も多かったのが、AIそのものではなく、AIを取り巻く会社の環境に対する不満です。

 ・個人情報を含むデータは取り扱えない、法令解釈は正しくないなど、課題もある。
 ・組織としてライセンスを配っただけで、その後は放置状態。

AIの性能以前に、それを活用するための社内環境が整っていないことへの不満も多く見られました。

 ・社内ルールが整備されておらず、結局プライベートでの利用と大差ない。

多くのユーザーは、AIの能力を限定的なものにしているデータ利用の制約や、会社としての活用方針の欠如に、もどかしさを感じています。

2. AI自体の壁(性能とシステム連携)

ハルシネーション(AIが嘘をつくこと)や、他システムと連携していないことへの不満が挙げられました。

 ・嘘を作り出すことがあるため。
 ・回答精度は高いが、システム非連動のため、連動できるとよい。

汎用的なAIであるがゆえに、自社の業務やデータと連携していない「独立したツール」であることの限界が、満足度を押し下げる一因となっています。

ユーザー自身の壁

「AIの進化に追いつけない」「使いこなせていない」といった、ユーザー自身のスキル不足を理由に挙げる声も多くありました。

 ・AIの進化スピードに追いつけていない、使いこなしていない。
 ・慣れていないため、求めている回答へのチューニングに時間がかかる。

これは、AIを最大限に活用するには、ユーザー側にも一定のリテラシーが求められるという、新たな課題を示しています。

これらの声から、ユーザーは生成AIを「便利な文章作成ツール」として評価しつつも、その段階ではもはや満足していないことがわかります。「さらに業務の根幹で、安全に、深く使いたい」という高次元の期待があるからこそ、現状の制約に対して厳しい評価を下しているのです。この結果は、企業が次に取り組むべき課題を明確に示唆しています。

4. 人事部門が望むHRシステムの未来とは

最後に、「『COMPANY』に生成AIが追加されるとしたら、どの業務で利用したいですか?」という質問を通じて、ユーザー様がHRシステムの未来に何を期待しているのかを伺いました。寄せられた多岐にわたる回答は、単なる業務効率化にとどまらない、より高度で具体的な3つの活用フェーズに集約されました。

1. 複雑な制度改定をAIがガイド

最も多くの声が寄せられたのは、「COMPANY」の設定・運用業務のサポートです。これは、AIに「システム活用のエキスパート」としての役割を期待する声と言えます。

 ・新しい制度が入るときに、どこをどう変えたらいいのか教えて欲しい。
 ・やりたいことを入力すると、詳細な操作方法や設定変更手順を教えてくれる
  マニュアル代わりのAIが欲しい。
 ・規程を読み込ませ、自動で設定コードを作成して欲しい。


多くの担当者が、法改正や制度変更に伴う煩雑な設定作業に課題を抱えていることがわかります。AIによる手順のナビゲートや設定の自動化、エラーの自己解決支援といった、システム習熟のハードルを下げて、運用負荷を軽減する機能への、ニーズの高さが明確になりました。

2. AIが誤入力や法令違反を検知

次に多かったのは、給与計算や勤怠データなど、データの正確性を担保するためのチェック機能です。これは、AIにデータの正確性や整合性を自動的に検証し、異常や不整合を検知させたいという声です。

 ・給与計算が正しく行われているかチェックさせたい。
 ・過去の傾向から36協定違反になりそうな人をアラートで抽出したい。
 ・勤怠の誤った入力があったら、従業員に指摘して欲しい。

人為的ミスが発生しやすく、かつ企業の信頼に直結する業務において、AIによる異常値の検知やコンプライアンス違反の予兆アラートなど、リスクを未然に防ぐプロアクティブな活用が求められています。

3. AIが人事判断をサポート

さらに、AIをデータに基づいた意思決定を支援する「戦略的パートナー」として活用したいという、未来志向の意見も多数見られました。

 ・残業過多、離職予兆、生産性管理などの就労分析をしたい。
 ・全職員の発令履歴を基に次期の昇任や異動案をサジェストして欲しい。
 ・賃金をN%上げ下げした場合の人件費シミュレーションをしたい。

これらの声は、人事部門が日々のオペレーションから解放され、人材育成、適材適所、人件費の最適化といった、より付加価値の高い戦略的な業務へとシフトしていきたいという強い意志の表れです。

アンケート監修者 WHI総研・袋瀬 淳による考察

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本調査結果から見えてきたのは、生成AIがもたらす「業務変革の速さ」と、多くの企業が今まさに「次なる進化への入口」に立っているという事実です。

わずか1年半前、AI導入の最大の障壁は「セキュリティ」という技術的な不安でした。しかし現在、その懸念は大きく後退し、AIはもはや特別なツールではなく、電気や水道のような「ビジネスインフラ」として急速に普及しています。文章作成やアイデア出しといった【第一フェーズ:定型業務の効率化】においては、約7割のユーザーが期待通りの成果を実感しており、AIはROI(投資対効果)を証明する段階から次へ向かおうとしていると考えています。

しかし、この“第一フェーズ”の成功に安心することなく、次の段階を見据える必要があります。自由回答で寄せられた「特定の業務でしか使えていない」「分析の精度に課題がある」といった声は、汎用的なAIだけでは越えられない壁があることを示唆しています。

そして、その壁を突破する鍵は、本調査の最後でユーザー様が明確に指し示した【第二フェーズ:基幹システムへの組み込みによる業務の高度化】にあります。「COMPANY」をご利用のユーザー様は、HRシステムの内部で自社の規程や人事データを深く理解したAIが稼働することを強く期待しています。それは、複雑な制度改定をナビゲートする「運用支援AI」、給与計算や勤怠の誤りを検知する「データ監査AI」、連して離職予兆や異動を分析する「戦略人事AI」としての姿です。

これからの焦点は、従業員がAIを使いこなすことから、企業がAIを基幹業務に組み込み、新たな価値を創り出す段階へと移行しています。人事部門には、AIを活用して業務プロセスを再設計し、組織変革をリードする役割が求められています。

今回の調査が、企業がAIとともに次のステージへ進むための参考となることを願っています。

この記事を書いた人

ライター写真

袋瀬 淳(Fukurose Jun)

2008年、大手不動産会社へ入社。企業の寮・社宅運用のソリューション 営業、コンサルタントとしてキャリアをスタート。 導入コンサルティング、および、導入後のカスタマーサクセス支援を通じ、 企業の業務改革に従事。2020年、Works Human Intelligence入社。保守コンサルタントを歴て、多くの企業を見てきた経験を活かし、人事全体の事例・トピックスの研究・発信活動を行っている。

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