個人住民税の特別徴収税額通知を電子化したのに、「業務が楽にならない」と感じていませんか。紙と電子の併存や自治体ごとの差異により、業務削減に繋がらないケースもあります。
本記事では、大手法人91社の調査を基に、電子化の実態と課題を整理し、業務効率化に繋げるポイントをわかりやすく解説します。
【この記事のポイント】
・電子化の進展:2025年調査では大手企業の64.4%が個人住民税の特別徴収税額通知の電子化に対応。前年比約20%増で拡大している。
・残る課題:「自治体ごとの差異」「紙との二重管理」「ZIP解凍などの新オペレーション」が、電子化後も人事部門の負担として残る。
・解決の鍵:単なる電子化では不十分。受領・管理・配布を一気通貫で完結するシステム選定と、行政への働きかけ(GR活動)の両面対応が不可欠である。
目次
個人住民税特別徴収税額通知の電子化とは
個人住民税特別徴収税額通知を電子データで受け渡し可能に
令和3年度の税制改正により、個人住民税の特別徴収税額通知の運用が見直されました。個人住民税特別徴収税額通知は、企業が従業員の住民税を給与から天引きするための基礎となる情報であり、「納税義務者用(従業員用)」と「特別徴収義務者用(事業主用)」の2種類があります。
従業員向けの通知はこれまで書面で配付していましたが、令和3年以降は電子データでの受け取りと配布が新たに可能となりました。一方、事業主向けの通知は電子データ(副本)の配布が廃止され、書面または電子データのいずれかを選択する運用へと変わりました。
なぜ電子化に対応するべきなのか
個人住民税特別徴収税額通知の電子化に対応しない場合、数千件規模の仕分け・配布業務や郵送コストを削減できず、紙運用に起因する情報管理リスクや監査対応の負担が残ります。
さらに、今後進む制度のデジタル化にも後手対応となり、人事DX全体の投資対効果を引き下げる要因にもなります。
一方で、電子化に対応した企業においても、「本当に業務は削減できているのか」「どのように対応すべきかわからない」といった課題が残るケースも多く見られます。
以降では、大手企業91社に実施したアンケートを基に、電子化の実情と課題を電子化の実態と課題を整理し、業務効率化に繋げるポイントをわかりやすく解説します。
【2025年調査】個人住民税特別徴収税額通知の電子化への対応状況
Works Human Intelligence(以下、WHI)は、大手企業を対象に、個人住民税特別徴収税額通知の電子化の対応状況に関するアンケート調査を実施しました。
<調査概要>
・調査名
WHI調査「2025年度 個人住民税特別徴収税額通知の電子化状況」
・対象
「COMPANY」をご利用中のお客様
・回答期間
2025年4月2日(水)~5月15日(木)
・方法
インターネットを利用したアンケート調査
・有効回答数
91法人101名
大手企業の6割以上が電子化に対応済み
2025年に実施した本調査では、一部電子化を含め64.4%(65名)が通知を電子化していると回答しました。2024年度の調査結果である44.5%と比較すると、約20%増加しており、電子化は着実に進展しています。
2025年度の個人住民税の特別徴収税額通知は電子化されましたか。(n=101、単一選択)
| n | 割合 | ||
| 電子配布を選択した(一部電子化を含む) | 65 | 64.4% | |
| 電子配布を選択した | 56 | 55.4% | |
| (シェアードサービスのお客様等)主に電子配布を選択し、一部の受託法人では紙配布を選択した | 5 | 5.0% | |
| (シェアードサービスのお客様等)主に紙配布を選択し、一部の受託法人では電子配布を選択した | 4 | 4.0% | |
| 紙配布を選択した | 36 | 35.6% | |
従業員手続きの電子申請・閲覧システムの利用意向は9割以上
また、電子配布を選択した企業の9割以上が、個人住民税特別徴収税額通知の電子化にあたって「COMPANY Web Service(CWS)」を利用する意向を示しました。
*COMPANY Web Service(CWS):弊社が提供する、身上申請や年末調整、人事考課、給与明細の照会などをWeb化し、従業員からの情報収集や情報公開を自動化・ペーパーレス化するサービスのひとつです。
2025年度の個人住民税特別徴収税額通知を電子化する場合、CWSを利用しますか。(n=64、単一選択)
| n | 割合 | |
| 利用する | 59 | 92.2% |
| 利用しない | 4 | 6.3% |
| (シェアードサービスのお客様等)受託法人により異なる | 1 | 1.6% |
企業からの個人住民税特別徴収税額通知の電子化に関する要望
個人住民税特別徴収税額通知の電子化について、行政機関に対する意見・要望は48件寄せられました。主な内容を以下にまとめました。
・電子化への統一:一部の市区町村が未対応のため、全自治体での電子化を求める意見
・マイナポータルとの連携:企業を介さず本人へ直接通知するしくみを望む声
・受給者番号の管理:自治体ごとに受給者番号の形式や桁数が異なり、特別徴収切替届出(依頼)書の記載ルールにも差異があるという意見
・行政からの紙返送:電子申請後も紙が届く運用に対する意見
なぜ電子化で負担が減らないのか?人事部門に残る業務課題
個人住民税の特別徴収税額通知を電子化すれば紙は削減されますが、人事部門の業務全体が効率化されるわけではありません。実際には、以下のような業務課題が存在します。
<主な業務課題>
・紙対応による物理的な制約
・受領業務の煩雑さ
・システム運用の複雑さ
紙対応による物理的な制約
紙での仕分けや封入、郵送作業は従来から大きな負担でしたが、個人住民税の特別徴収税額通知を電子化した場合でも、自治体によって電子配布の対応状況が異なる点や、電子配布を希望しない従業員への対応などの障壁が残ります。結果として「紙と電子の二重管理」が生じ、作業コストの削減が進まないだけでなく、「在宅勤務ができない」といった働き方の制約も依然として発生します。
集計のばらつき、受領業務の煩雑さ
個人住民税特別徴収税額通知の電子化に対応しない場合、数千件規模の仕分け・配布業務や郵送コストを削減できず、紙運用に起人事部門は、全国約1,700の自治体からバラバラの時期に届くデータを、漏れなく集計・管理する必要があります。特に大手企業では、データ形式やデータ量が膨大になりやすく、業務はより煩雑になる傾向があります。アンケートでも、自治体ごとのバラツキに苦慮しているという回答が多く見られました。これは、単なるシステム導入だけでは解決できない、構造的な課題といえます。
電子化による新オペレーションの発生、システム運用の複雑さ
各自治体から送付される税額通知データは、ZIPファイルで暗号化されており、一般的に使用されているWindowsの標準機能では解凍できません。そのため人事部門は、従業員に対して個人住民税の特別徴収税額通知を閲覧するための専用ソフトのインストールを案内しなければなりません。
そのため、紙から解放されたとしても新たなオペレーションが発生し、結果として業務負荷が増加する可能性があります。また、複数のシステムや管理画面を併用する構成では、操作そのものが負担となるケースも少なくありません。
住民税業務の効率化に繋がるシステム選定のポイント
個人住民税の特別徴収税額通知の電子化を進める企業は増えていますが、選択するシステムによって、業務効率化の成果には大きな差が生まれます。特に重要なのが、「単なる電子化」にとどまるのか、「通知の受領・管理・配布・閲覧までを一気通貫で実行できるか」という点です。
WHIが提供する統合人事システム「COMPANY」シリーズは、約1,200法人グループの大手企業の声を反映しながら進化を続けているパッケージ製品です。
住民税業務のシステム化で、集計から配布までが一気に完結
従業員への電子配布を選択し、「COMPANY」を活用することで、自治体から届いた通知書の仕分けや管理、従業員への配布までをすべてシステム上で完結できます。そのため、在宅勤務環境でも対応が可能です。また、給与システムと従業員向け配布機能が連携しているため、業務プロセス全体をシームレスに運用できます。
システム運用の負担も激減
「COMPANY」では、システム内部でZIPファイルの解凍および復号処理を行えます。従業員は所定のパスワードを入力するだけで内容を確認できるため、人事部門と従業員双方の負担を軽減できます。さらに、人事担当者が利用する管理画面にも配慮しています。自治体から受領したデータのアップロード、受領状況の管理、従業員への配布状況の管理まで、すべてを1つの画面で実行可能です。必要な機能を集約しているため、操作負担を抑えながら業務を進められます。
▲「COMPANY」 特徴通知機能の実際の画面
メニューを切り替えるだけで、受領した税額通知のアップロード、配布方法の設定、自治体からの受領状況・従業員への配布状況の確認、取込の結果対応が必要な人のチェックなど、税額通知書の配布に関するすべての業務を一つの画面で実施可能
WHIが取り組む、法制度を改善するための官民連携
前章で述べた通り、システムによって業務効率化は大きく前進します。しかし一方で、自治体ごとの対応差や制度上の制約など、システムだけでは解決できない課題も残ります。
特に個人住民税の特別徴収税額通知のように、制度や行政手続きと密接にかかわる業務においては、個社単位での最適化には限界があります。そのため、ユーザー企業が連携し、実務課題や要望を集約したうえで、行政に対して制度改善を働きかけていく取り組みも重要です。
WHIは、専任組織であるGRチーム(Government Relations)を中心に、法制度そのものを改善する取り組みを行っています。
当社のユーザー会に所属する法人や団体から寄せられる声を、製品やサービスの改善に活かすだけでなく、政府・行政へ届けることで、法制度や行政手続きに起因する課題の解消を目指しています。
個人住民税特別徴収税額通知の電子化に関しても、総務省や地方税共同機構などの関係機関に対して、継続的に提言活動を実施し、現場の実態に即した制度改善を後押ししています。
システムで解決できる領域には限界があるからこそ、WHIは大手企業の人事データを支えるベンダーとして、より多くの企業や従業員にとって最適な環境が実現するよう、政府・行政に対して現場の声を届けることで制度改善を促し、制度と運用の両面からの課題解決にも積極的に取り組んでいます。
個人住民税特別徴収税額通知の電子化を機に「人事業務のあり方」を見直す
今回の調査により、大手企業の6割以上で個人住民税特別徴収税額通知の電子化が進んでいることが明らかになりました。合わせて、「COMPANY」を利用する企業の9割以上が「COMPANY Web Service」を活用する意向を示し、電子配布や従業員手続きを含めた運用の効率化が進んでいます。
一方で、個人住民税特別徴収税額通知の電子化に対応しても業務負荷が残るケースや、自治体ごとの差異、運用面の課題は依然として存在しています。これらの結果から、システム導入だけでは解決が難しい問題があることも明らかになりました。
WHIでは、ユーザー企業の声を集約し行政へ提言するGR活動を通じて、企業単独では解決が難しい課題の解消にも注力しています。
個人住民税特別徴収税額通知の電子化は、単なるコスト削減にとどまらず、人事業務全体のあり方を見直す契機といえます。この機会に貴社にとって最適な業務プロセスとシステムのあり方を見直してみませんか。





