2月5日に開催された、株式会社Works Human Intelligence(以下ワークスHI)と弊社ユーザー、サッポロホールディングス株式会社(以下サッポロ)共催セミナー【「改革は終わらない」~BPR推進の過程から紐解く、企業改革の軌跡と今後の取り組み~】では、サッポロの企業改革の取り組みについてご紹介いただきました。
労働生産性の向上ひいてはグループ各事業の利益創出を目指し、様々な施策を打ち出してきたサッポロ。それらをいかにして全社的に推進し、抜本的な業務・企業改革に取り組んでいったのか。本記事では、【「改革は終わらない」~BPR推進の過程から紐解く、企業改革の軌跡と今後の取り組み~】セミナーの様子をお届けします。
タイムテーブル
・第一部:「改革は終わらない」
~BPR推進の過程から紐解く、企業改革の軌跡と今後の取り組み~
・第二部:企業改革を支える「COMPANY ® HRシリーズ」とは
~COMPANY® HRシリーズ デモンストレーション~
第一部:「改革は終わらない」
~BPR推進の過程から紐解く、企業改革の軌跡と今後の取り組み~
2026年にグループ創業150周年を迎えるサッポログループは、「2026グループビジョン」として、「世界に広がる『酒』『食』『飲』で個性かがやくブランドカンパニーを目指す」ことを指標に置いている。そのためにまずは、2020年までを「異次元スピードの変革(※)」として位置づけし、様々な取り組みを進めている。
(※)セミナー講演時点での第一次中期経営計画の内容となります。
(なお、2020年2月13日に「グループ経営計画2024」を新たに策定、発表しています)
「労働人口が減少し、今後労働力を十分に投入できない中で、いかに労働生産性を高めていくか、またそのうえで競争力を維持・向上をさせていくためにはどういった活動が必要となるかが本日のテーマである」と改革推進部の新井健大氏は語る。
「業務そのものを見直す活動なくして働き方を変えるのは難しい」
2016年に「働き方改革2020」の取り組みを始めたサッポロ。
※サッポロ様投影資料より抜粋
生産性向上はもとより、従業員の健康増進や生活の充実を目的に、【勤務間インターバル】【テレワーク制度】【時間有給休暇】【スーパーフレックス】を導入した。ポイントは、4つの制度を段階的ではなく同時に導入したことだ。そうすることで、それぞれの制度を柔軟に組み合わせて利用することができるようにし、従業員の働き方の選択肢の拡充を図った。
こういった制度の導入は従業員から好意的に受け止められた一方で、特定の部門などでは「制度を利用している従業員が特定の方に偏っている」といった状況も見えてきた。なぜか。活用ができていないメンバーにヒアリングしてみると、「業務そのものが変わっていない中で働き方を変えるのは難しい」といった声があった。
働き方改革の本質とは何か
制度を入れることが働き方改革ではない。制度を入れたからといって働き方が変わるわけでもない。制度の導入と併せて考えるべきは、業務を抜本的に見直す活動(BPR)であり、それこそが働き方改革の本質ともいえる。そこで、改革推進部が発足、グループ横断的なBPR推進をするに至った。
※サッポロ様投影資料より抜粋
まず初めに行ったことは、約1ヵ月で、サッポロビール社の従業員約2,000名分の業務の実態全体を可視化(年間約1,700時間/人)し、大まかな傾向を分析。そのうえで課題(工数が大きい、属人化等)のある業務を【廃止】【簡素化】【集約化】【標準化】【再配置・外部化】【自動化】といった観点で見直し、より付加価値の高い業務へシフトしていくために、今まさに各部門の業務課題の可視化と改善策の立案・実行を進めている段階である。
5000時間=人事領域において3名相当分の工数を創出
例として、人事領域のBPR活動の概要(テーマ)を紹介する。
❶ 給与計算業務 : 約1,800時間相当分を創出
・【例】RPAの活用等による給与計算オペレーションの効率化 等
❷ 社会保険業務 : 約1,600時間相当分を創出
・【例】APIツール、RPA等の活用による届出データ作成・提出の効率化 等
❸ 上記以外のその他業務諸々 : 約1,600時間相当分を創出
・【例】定例会議の在り方の見直し(会議目的の再整理と運営方法の見直し)や、
問い合わせのチャットボット化などによる業務の効率化 等々
上記のうち、❶の給与計算業務ではサッポログループ全体でCOMPANYを利用しており、まずはCOMPANYの機能を最大限活用しつつオペレーション(取込データの加工作業・システム操作 等)の廃止・集約化・簡素化を進めていった。その結果、グループ各社の給与計算業務が標準化されたことで一気通貫したRPAによる業務の自動化を実現することができた(RPAによるCOMPANYオペレーションの実現)。
また、社会保険業務においても、原則届出に関しては電子申請化することで効率化を実現するとともに、電子申請を行うまでの各種データ作成のプロセスにおいてもAPIツールの活用やRPAによるCOMPANYからのデータ自動出力/取込などの工夫を行った。
人事部門メンバーによるこういった様々な取り組みの結果、3名相当分の労働量となる、約5,000時間相当分の工数を生み出すことができた。
今、業務改革をすべき理由
ただし、BPRの活動をここで終わりにしてはいけない。むしろ、この後が重要となる。つまり、ミッションであるグループ各事業の利益創出に貢献するためには、業務改善に伴って組織体制も含めて見直しを行い、そのうえで的確な人的リソースの配分まで行わなければ、BPRによる本質的な効果を得ることはできない。そのためには、経営企画部門や人事部門といった部門との連携が欠かせない。
また将来、更にAIを始めとした高度なデジタルテクノロジーが業務に浸透してくるのは明確だ。それらをタイムリーかつ最大限利用していくためには、例えばそもそもの業務自体をグループの中で集約・標準化されていることなどが前提条件となってくる。つまり、新たなテクノロジーを活用していこうというときになって初めて業務を見直すとなると、それだけで多大な時間を要することとなり、世の中の変化のスピードについていけず、結果競争に負けてしまうことになっていくだろう。
来たるべきその時に向け、このタイミングから準備をしておくことは非常に意味がある。
BPRの取り組みはまだまだ道半ばである。更なる効果創出に向けて、今後も活動を加速させていく予定だ。と新井氏は語った。
※サッポロ様投影資料より抜粋
今後労働人口が減少していく中で、サッポロ様の取り組みは非常に参考になるものではないでしょうか。将来、企業が生き残っていくためには、今後抜本的な改革が必要不可欠になると言えます。働き方改革・業務改革はただ従業員が働きやすい環境を作るだけのものではありません。組織全体を高度化し、最終的には会社の利益創出に貢献していくことを念頭に置いて実施することが必要となります。
第二部:企業改革を支える「COMPANY ® HRシリーズ」とは
~COMPANY® HRシリーズデモンストレーション~
第二部では、サッポロ様にもお使いいただいている、弊社製品COMPANY® HRシリーズの最新版を用いたデモンストレーションを行いました。
・変化変更に柔軟に対応できる点
・標準機能が豊富であり、それに基づいて業務の見直しを行うことで業務の平準化が可能な点
などをご評価いただき、サッポロ様の企業改革の一助となることができました。
第三部:ビールテイスティングセミナー
第三部では、SORACHI 1984 のブリューイングデザイナーである新井健司氏による、ビールテイスティングセミナーを実施しました。ホップを実際に手に取ったり、新商品や限定商品を試飲したりと、皆様楽しんでいらっしゃいました。セミナー後は懇親の場もあり、サッポロ製品を楽しみながらお客様同士やサッポロ様との交流を深めていました。
様々なビールをテイスティングされるお客様たち
ホップの違いからビールの違いを詳しく説明する新井健司氏
改革推進部部長 小岩達也氏による中締めの挨拶
今後とも、Works Human Intelligenceでは皆様にお役立ていただけるセミナーを開催してまいります。