山崎製パン株式会社
人事本部 人事情報管理室 室長 堀井 隆一郎様(写真左)
人事本部 人事情報管理室 企画課 清松 由佳様(写真中央)
人事本部 人事情報管理室 企画課 課長 高埜 裕士様(写真右)
パン、和・洋菓子、調理パン・米飯類の製造・販売、製菓・米菓の販売、ベーカリーの経営、コンビニエンスストア事業等を展開し、国内の製パン業界でシェア第1位(2021年度)を誇る、山崎製パン様。山崎製パン様では、グループ経営・連結経営の重要性の高まりを受け、2002年にCOMPANYを導入。以来、COMPANYを用いて業種業態の異なるグループ会社の情報・業務集約を進めてきました。
他社と比べて約10倍の生産性をキープしながら統合・集約を進める秘訣、COMPANYの活用方法、今後の展望までを語っていただきました。
- 法人名
- 山崎製パン株式会社(YAMAZAKI BAKING CO.,LTD.)
- 本社所在地
- 〒101-8585 東京都千代田区岩本町3-10-1
- 設立
- 昭和23年6月21日
- 資本金
- 110億1,414万3千円(2022年6月時点)
- 売上高
- 10,529億円(連結)、7,413億円(単体)
- 販売店舗
- 109,290店舗
- 主な事業内容
- パン、和・洋菓子、調理パン・米飯類の製造・販売、製菓・米菓の販売、 ベーカリーの経営、コンビニエンスストア事業
業種
課題
・グループ連結経営の重要化に伴い人事データを一元管理できるしくみの整備が必要
採用理由
・20社以上の業種業態が異なるグループ会社を一元管理できる
・バージョンアップ・法改正対応に追加コストがかからない
効果
・設定をグループ会社間で使いまわすことで生産性が向上
・グループ全体利用によりこれまでの設定が資産として蓄積
導入の経緯グループ経営・連結経営を背景にシステム刷新が急務に
――はじめに、「COMPANY」の利用状況を教えてください。
清松様:
当社では2002年からCOMPANYを利用しています。最初はグループ4社7,000名を対象とした人事給与管理を皮切りに、グループ全体への展開を進めてきました。
現在は、グループ全体の96%である26社70,000名に「COMPANY人事・給与」を、3社42,000名に「COMPANY Web Service」を導入し、人事情報を人事情報管理室の32名(正社員19名、非正社員13名)で管理しています。また、2008年から導入している「COMPANY就労・プロジェクト管理」では、12社52,000名の就労のシステムを統合し、管理を行っています。
堀井様:
就労領域もグループ全体の約75%までシステム統合が進んできました。今後は残りのグループ会社へ導入を進め、各拠点に分散する業務を集約していきたいですね。
――当時のシステム検討のきっかけを教えていただけますか?
堀井様:
当時、全社的にグループ経営・連結経営の重要性が高まる中で、人事部門においても山崎製パン本体とグループ会社の人事情報を一元管理できるしくみの整備の必要性を感じていました。ただ、グループ会社は人数規模が数名から数万名まで様々で、資本力にも大きな差があります。コストの観点からも現行のスクラッチベース、カスタマイズありきの考え方はやめ、すでに世の中に存在するパッケージシステムを利用する方向で検討を進めました。
選定の理由業種業態の異なるグループ会社でも柔軟に統合、追加コストもかからない
――「COMPANY」を採用いただいた理由を教えていただけますか?
高埜様:
検討のきっかけだった「業種業態の異なるグループ会社を一元管理できること」が大きな理由です。山崎製パンでは、20社以上の業種業態が異なるグループ会社を抱えています。そのため、異なるシステムでの管理によって無駄なコストを発生させることがないよう、特に「人事管理」と「給与計算」の両方でグループ一元管理が可能なしくみが必須条件でした。
当時、他に検討していたシステムの中には、「人事管理」は会社を横断して行えるが、「給与計算」ではそのようにできないものもありました。その点でCOMPANYは、人事管理はもちろん、給与計算でも各社で異なる計算ロジックを組んだり福利厚生制度に対応できたりしながらも、それらを1つのデータベースで管理できる点が魅力的でした。
堀井様:
原則として追加コストがかからない点も採用の決め手です。見積書を見ると、他社のカスタマイズベースのシステムは、基本のパッケージシステム料金に追加の機能開発費や導入支援の人件費等が加算されていきます。一方COMPANYは、将来のバージョンアップ費用・法改正対応費用がすべて含まれた金額が記載されているのみでした。当時たった1行の見積書にとても驚いたことを覚えています。
活用の方針グループ1パッケージの管理で法や制度の改定にきめ細かく対応
―― COMPANYの導入において、具体的にどのようなメリットがあると感じますか?
堀井様:
一番のメリットは、EUC(エンドユーザーコンピューティング)の考え方、具体的には自分たち自身でシステムの設定ができ、スピード感を持って法改正や制度改正に対応できる点です。
我々は、システムの開発と運用を両輪の輪と位置付け、どちらも自分たちで行えるようにすることを信条としてきました。以前は、法改正や制度改正がある度にまず情報システム部門や外部のベンダーに対して見積もりを取り、金額が発生する場合は稟議申請をするといった流れが発生し、時間がかかっていました。
一方COMPANYは、自分たち自身で設定画面を触ることができるため、実現したいことを実行に移すまでの時間が圧倒的に短縮されていますね。また、コーポレートガバナンスの観点でもメリットを感じています。現在、山崎製パンではグループ全体として人事情報を高い水準で管理することを目指しています。
もっとも、各社で改善すべき課題があったとしても、それぞれの都合や想いもあり私たちから指摘をしてもいきなり変えていくことは難しい面があります。そこで、まずはシステムをCOMPANYに統一し、しくみの部分から少しずつ改善できる土台を整えることで、結果的に高い水準で管理できる状態を作り上げてきました。
清松様:
COMPANYではグループ全体を1データベースで管理することによって、法改正の対応や制度改定に素早くかつきめ細かく対応できます。引き続き、各社に協力を得ながらグループ全体へのCOMPANY導入を早期に進めていきたいです。
――グループ全体の人事システムを統合する場合、現場の方々の協力も必要になるかと思います。その点で何か工夫されたことはありますか?
清松様:
「COMPANY人事・給与」は、会社ごとの導入としていますが、「COMPANY就労・プロジェクト管理」に関しては、同じ会社の中でも事業所へ一斉に導入するのではなく、小規模な事業所からスタートし段階的に広げていきました。たとえば山崎製パンの事業所は、数百名規模の拠点から1,000~2,000名が働く大規模な拠点まであります。
まずは、規模の小さな事業所から先行してシステム導入を行い、成功や失敗のノウハウを蓄積しました。ある程度ノウハウが溜まったところで大規模事業所への導入に踏み切ったことで、現場の混乱を防ぎ円滑に進めることができたと感じています。
また、就労管理については現場での運用が多いため、導入にあたっては特に現場目線を重視しました。利用するシステムが突然変更されると、各グループ会社の現場担当者に不安や疑問を生じさせ、スムーズな進行が困難になります。
そこで、現場担当者へシステム変更の理解を得るため説明会を何度も開き、システム統合の背景やメリット、使い方等を伝えました。これが功を奏し、現場の協力を得られ、スムーズな導入と安定運用につなげることができました。導入のスケジュールを柔軟に組める点もCOMPANYのよいところだと思っています。
堀井様:
現場の協力を仰ぐという点で難しかったのは、グループ会社にシステム変更による業務集約を前向きに検討してもらうことでした。システム変更は基本的には強制ではなく各社の任意としていましたので、まずは普段からやり取りのある会社に対して積極的に声をかけ、一生懸命説明するという地道な働きかけを行いました。
一般的に、世の中のあらゆるものは全体の25%のシェアが取れたら寡占化が進むと言われますが、今回のシステム統合においても、グループ全体の25%に達するまでは どぶ板戦略で進める覚悟で臨みました。これを継続した結果、COMPANYでの管理人数は増え、業務集約も加速し今に至ります。
写真:人事本部 人事情報管理室 企画課 清松 由佳様
人事部門の生産性は他社平均の約10倍。蓄積した設定が資産に。
――グループ会社全体でCOMPANYの利用を進められており、山崎製パン様の人事部門の生産性は他社平均の約10倍※と非常に高いと感じています。その秘訣は何でしょうか?
※当社調べ
堀井様:
山崎製パンには会社全体で生産性を追究する文化があります。これは私の持論ですが、業務集約に取り組み始めた頃から、人事の業務を「縦割り」で行っていることが生産性を下げている要因なのではという仮説がありました。
あらゆる間接部門の仕事は、従業員とやり取りする対人的な窓口業務、一定のルールに基づいて処理や作業を行う業務、その結果得られたものを管理する業務で成り立っていると思います。そこで、業務ごとの「縦割り」ではなく、窓口、処理・作業、管理という業務のステップごとの「横割り」で担当者をまとめることで生産性を高められるのではと考え取り組んできました。
高埜様:
冒頭でお話しした通り、山崎製パンでは現在26社70,000名の人事情報を32名で管理しています。1人あたりの管理人数に換算すると約2,000名になる計算です。これは経験的な話ですが、1人あたりの管理人数が2,500名を超えると、各担当者の負担が重くなり業務品質が下がってしまうと感じています。
一方で1,500名だとそれはそれで業務に緩みが出てミスが増える…。こうして日々の業務の中から経験的に導き出された「1人あたりの管理人数約2,000名」を1つの物差しとすることで、適度な緊張感と労働密度を保ちながら業務ができ、生産性向上につなげられていると考えています。
――1人あたり約2,000名の人事管理を実現するにあたり、工夫されていることはありますか?
堀井様:
私は、業務受託範囲を広げるにあたり、常に3つの軸を持ってコントロールすることを意識しています。1つ目は「ユーザー数・対象となる管理人数」、2つ目は「業務受託範囲」、そして3つ目は「業務精度・クオリティー」です。
たとえば、受託会社が増えて1つ目の軸である管理人数が増加し一時的に業務負荷が高まったとします。その際は他の軸の追求を一旦緩めておくといったコントロールを行うことで、グループ会社のシステム統合と業務集約を進めてきました。
高埜様:
この考え方により、業態の異なる会社が増えたり受託業務範囲が広がったりした際にも、案外大きな影響がなかったように思います。私たちは当初、月例給与のみ対応していたところから、賞与や昇給、福利厚生や社会保険対応等、徐々に管理業務を増やしてきました。
常に3つの軸を意識してコントロールし続けることによって1人あたり2,000名という生産性をキープしつつ、変化に柔軟に対応できているのだと思います。
写真:人事本部 人事情報管理室 企画課 課長 高埜 裕士様
――では、グループ会社全体をCOMPANYで管理していくにあたり、具体的にどのような活用をされていますか?
高埜様:
各社の制度・ルールを尊重できるようなるべくCOMPANYの設定で対応しつつ、端数処理のようなどうしても必要な部分だけ標準化する形で対応しています。グループ会社の制度やルールはまったく異なるため、通常それぞれに合ったシステムを導入する必要がありますが、COMPANYでは会社ごとに機能の設定・ルール変更を行うことができます。
また、COMPANYでグループ全体の管理方法を統一することで、1つの会社向けに作成した設定を、新たに受託会社が増えた際に転用して使い回すことが可能です。システムの設定をゼロから考える必要がなくなったため、こちらも生産性向上につながっていると感じています。
堀井様:
COMPANYをグループ全体で利用すると、これまでの設定がどんどん資産になっていきます。業種や業態が異なるグループ会社でもあまり気にせず管理ができますね。
写真:人事本部 人事情報管理室 室長 堀井 隆一郎様
今後の展望
――最後に、今後の展望について教えてください。
清松様:
「COMPANY 人事・給与」については、統合・集約がまだできていない残りの会社について、早期のシステム統合・業務集約を目指しています。また、「COMPANY 就労・プロジェクト管理」については、未導入のグループ会社のシステム統合と併せて、各社・各事業所に分散している勤怠業務を人事情報管理室に集約することで、グループ全体として高いレベルでの管理を実現したいと考えています。
更に、「COMPANY Web Service」を現在の人員体制のまま展開しつつ、会社でしかできない個人の各種申請を従業員個人が外部からスマートフォンやタブレット等で申請できるようにし、WEB化を促進していきたいですね。
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