申請業務のデジタル化で
年間4,000時間もの事務作業工数を削減

写真左から: 総務部 人事課 人事企画グループ 上松 茉由 様、 人事給与グループ 専門職員 木崎 恵次 様、 人事給与グループ 専門職員 徳永 有亮 様、
学長 藤澤 正人 様、 人事企画グループ 課長補佐 林 文武 様、 人事企画グループ 松岡 敦子 様、 人事給与グループ 課長補佐 有井 美保 様
- 法人名
- 国立大学法人 神戸大学
- 本社所在地
- 〒657-8501
神戸市灘区六甲台町1-1 - 設立
- 1902年3月
- 資本金
- 1,213億3,238万円(2024年3月31日現在)
- 従業員数
- 4,345人(2024年5月1日現在)
- 主な事業内容
- 教育・研究・地域貢献
1902年に神戸高等商業学校として創立され、「知と⼈を創る異分野共創研究教育グローバル拠点」を⽬指されている神戸大学様。2008年に「COMPANY人事・給与(CJK)」を導入し、主要な業務システムとしてご活用いただいています。
2022年より「COMPANY Web Service(CWS)」およびスマートデバイスオプションを追加導入いただき、教職員約5,000名の給与明細や申請手続きのデジタル化を実現。学内における業務DXの先駆けとなるモデルケースとなったことが認められ、2024年に総務部人事課をはじめとしたシステム導入プロジェクトに携わった職員らが学長表彰を受賞されました。
今回、プロジェクトの中心となった林様、松岡様に、新たにCWSを導入された経緯や効果、教職員に浸透させるための取り組み、今後の展望についてお伺いしました。
課題
・紙での給与明細や申請手続きのデジタル化
・教職員約5,000名の作業負荷軽減を目指す
採用理由
・人事基幹システムとのデータ連携のための設定が不要
・COMPANYシリーズで人事・給与・勤怠が自動で連携
効果
・全学で年間4,000時間以上の業務時間を削減
・スマホ利用で教職員の利便性が大きく向上
――まず、おふたりのご所属やご担当、CWS導入プロジェクトにどのように携わられているかを教えてください。
林様:
私は、総務部 人事課で課長補佐を務めています。CWS導入プロジェクトでは、統括チームで全体の取りまとめ役を担いました。2008年のCJKの導入に携わった経験があります。当時は実務担当者でしたが、今回はプロジェクトリーダーとして携わりました。
松岡様:
私は2020年より総務部 人事課に所属していますが、以前は民間企業でシステムエンジニアとして従事していました。この経験から、本プロジェクトでは統括チームの一員として共通部分のシステム設定や、ナビゲーションの構築作業等を担当しました。
COMPANYのご利用状況
――現在のCOMPANYのご利用状況を教えていただけますでしょうか。
林様:
10年以上前にCJKを導入し、人事課の主要な業務システムとして運用してきました。2023年1月にCWSを追加導入し、非常勤職員も含め約5,000名の教職員が利用しております。本学附属の幼稚園から小中高校の教職員も対象で、利用者の割合は全教職員の9割以上に達します。
導入製品 : CJK、CWS
● CJK (COMPANY人事・給与) :COMPANYの基本機能で、人事データ管理や給与計算等を実施
● CWS (COMPANY Web Service) :ポータルサイトを通じて従業員が様々な申請を行うためのしくみ
――COMPANYを長年お使いになって、率直にどうでしょうか。気に入っている点やよく使う機能等はありますか。
林様:
私はCJK導入時に給与計算の設定を担当しましたが、それまで使用していたシステムと比較して、給与計算の処理が速く、個人指定での計算が繰り返しできるなどユーザーにとって使いやすい機能があることが気に入っています。
松岡様:
私は、必要な帳票を自由に作成できるところが気に入っています。たとえばCWSの自己申告機能を導入した際は、COMPANYの台帳機能を使うことで、従来使用していた表計算ソフトの調書とほぼ同じレイアウトで作成できました。また、COMPANYは履歴管理ができるので、過去のデータの抽出や分析もしやすいです。
COMPANYは用途に合わせて柔軟に設定できるので、今回のCWS導入において特に注力したナビゲーションの設定も、ユーザビリティの高いものに仕上げることができました。
導入の経緯給与明細や申請手続きをデジタル化し、教職員の作業負荷を減らしたい
――CWSを導入することになった背景や課題についてお聞かせください。
林様:
本学ではコロナ禍の2021年に、DXによる業務改善をプロジェクト方式で戦略的に実行するための全学横断プロジェクト「”D”プロジェクト」がはじまりました。このプロジェクトでは各部署からのDXによる業務改善に関する提案を受け付けていました。
そこで、私たち人事課からの業務改善案として、Web給与明細をはじめとする各種人事関係手続きのデジタル化を提案することにしました。その具体的な方法として、人事給与システムとしてすでに稼働していたCJKと同じCOMPANYシリーズであるCWSを追加導入することが最もスムーズなのではないか、と考えました。
当時、人事課では給与明細や年末調整といった各種申請を紙ベースで行っており、課題に感じながらもデジタル化に向けた取り組みはまだ進んでいませんでした。そのような状況で”D”プロジェクトがはじまり、DX推進の機運が高まっていたこともあり、これはチャンスだと思いました。CWSを導入すれば、Webサイトを通じた各種申請・承認が可能になり、教職員、部局事務、人事課の間で迅速にやりとりできるようになります。提案の結果、割とスムーズに承認されて予算がつきました。
総務部 人事課 人事企画グループ 課長補佐 林 文武 様と神戸大学公式キャラクター「うりぼー」
選定の理由人事給与システムとの自動連携が決め手に。スマートデバイス対応も必須
――CWS採用の決め手はどのような点でしたか。
林様:
CJKと自動連携できることが決め手となりました。本学では人事給与の基幹システムとしてCJKを10年以上使用しています。このため、他社のシステムを導入するとなると、どうしてもデータ連携の設定作業が必要になってきます。人事給与という基幹システムとスムーズに同期できる、親和性の高いシステムであることを最も重視しました。
――CWSにはスマートフォンやタブレットの対応を可能とするスマートデバイスオプションがありますが、こちらも併せてご利用いただいていますよね。
林様:
本学ではデスクワークを行う事務職員だけでなく、大学教員、附属学校の教諭、附属病院の医療系職員など様々な職種の方が働いており、看護師など業務において業務用パソコンを使用することがほとんどない職種もあります。
そのため、給与明細や各種申請のデジタル化にあたっては、教職員の利便性を考慮し、保有率の高いスマートフォンなどのスマートデバイスを活用することが必須だと考えました。スマートデバイス対応が必要な教職員は約2,000名にのぼるため、導入しない選択肢はありませんでしたね。ですので、CWSと併せてスマートデバイスオプションを導入する提案は、割とすんなり承認されました。
――スマートデバイスオプションの活用状況はいかがでしょうか。
松岡様:
現時点でスマートデバイス対応している機能は一通り活用できています。一部、未対応の機能についても、スマートデバイス用のサイトからPCサイトへのリンクを貼ることでスムーズに申請が出来るようにしています。
林様:
スマートフォンにも対応したことで、各自の都合に合わせて、いつでも、どこからでも給与明細の閲覧や申請ができるようになりました。アクセス状況を見ると、学外からアクセスしている方も多いですね。今のところスマートデバイス申請に関する問い合わせはほとんどなく、問題なく運用できています。
総務部 人事課 人事企画グループ 松岡 敦子 様
導入の効果年間4,000時間以上を削減。部局担当者の書類業務負荷の軽減に寄与
――CWSを導入いただいた結果、どのような効果がありましたか。
林様:
給与明細や各種申請、年末調整等のデジタル化による効果を算出したところ、全学的な年間業務時間を4,000時間以上削減できました。これは人事課の担当者の業務に加え、人事課と教職員の間に入って書類の受け渡しを行う部局担当者の業務を大幅に削減できたことが寄与しています。また、教職員が申請書類の受け取りや提出のために事務室まで出向いてもらう手間もなくなりました。
ペーパーレス化も進み、給与・賞与の明細を年間75,000枚、用紙・印刷代等の物件費としては、100万円も削減できました。
――すごい数値ですね!実際、こうした効果を実感されることはありますか。
林様:
そうですね。私は特に、年末調整申請や給与明細の閲覧において効果を感じています。年末調整申請では保険料控除証明書データを取り込む機能が非常に便利で、一度経験すると以前のように手動で入力・計算するのはもう考えられないですね。
給与明細については、年間75,000枚もの紙を使い、人事課、部局の担当者を含め非常に大きな作業工数を割いて配布していたのですが、デジタル化することでコスト削減だけでなく、こういった業務改善の効果も実感しています。
また以前は、職員調書をPDFファイルで管理していました。職員調書は機微な個人情報を含むため、その管理や取り扱いについては慎重を期す必要がありますが、CJKでデータを管理し、CWSで閲覧できるようになったことで、厳重な管理を維持しつつ、業務の利便性を高めることができたと思っています。
松岡様:
手当の申請も電子承認ができるようになったため、決裁プロセスが簡略化しました。紙で申請していた頃は、ハンコを押して課長まで手で回していたので手間も時間もかかりましたが、今は承認ボタンを押すだけです。
林様:
それについては、課長もすごく喜んでいるんですよ。今まで大量の書類一枚一枚にハンコを押していたのが、ボタン一つで終わるので「おお!」と感嘆していました。さらにデータで履歴が残るので、ファイリングする手間もなくなり、紙の保管スペースも削減できました。これも大きな改善点ですね。
松岡様:
大学には古い業務慣習が根付いていて、紙やハンコがすごく多かったのですが、CWSの導入を機にやっとデジタル化が進みだしたので嬉しいです。
――数値だけでなく実感として効果を感じられているようで、弊社としても大変嬉しいです!申請者側である教職員の方々からは、どのような反応がありましたか。
林様:
「ようやくデジタル化されるんですね」と言われるくらい、ポジティブな反応が多かったです。当初から紙との並行期間が終わったらCWSを使ったWeb申請に一本化する方針と伝えていたのですが、「紙も残してほしい」という声が多少なりともあがってくるのではと心配していました。ところが、実際のところ、否定的な声はほとんどなかったです。
実は、まだ医学部では申請機能の導入が完全に完了しておらず、一部従来通り紙で手続きを行っています。他の部局から医学部に異動した職員は、Web申請の環境から再び紙に戻ることになってしまうのですが、「やっぱりWebが良い」と嘆いていますよ。Web申請の便利さを知ると、もう戻れませんよね。
COMPANY Web Service スマートデバイスオプション イメージ
※実際に神戸大学様でご利用いただいているものではありません。
――教職員の方々にも浸透しているのですね!紙からデジタルへと大きく環境変化するにあたり、懸念もあったかと思います。CWSを普及させるための取り組みや工夫したことはありますか。
松岡様:
教職員向けの取り組みとしては、導入当初にポスターやリーフレットを作成しました。ポスターは各部局に掲示してもらい、新しく採用された教職員にはリーフレットを配布して、システムの利用を促しました。
導入直後は紙とWebの並行期間を設けたり、どうしてもWebが利用できない場合は紙で対応したりと、臨機応変に対応していることもあり、特に苦情のような声は出ていないですね。時々イレギュラーなケースでの問い合わせはありますが、部局の事務担当の方が運用に困っている様子はほとんど聞きません。
林様:
他にも、CWSのログイン方法やWeb給与明細の閲覧方法等をまとめたマニュアルや動画を作成し、CWSにアクセスする学内Webサイトに掲載しました。こうすることで、先にマニュアルを確認してからCWSにログインする導線になるので、この点も混乱なく導入できた要因かもしれません。
――部局の事務担当者向けに行った取り組みはありますか。
林様:
導入前に、部局の事務担当者を対象にオンライン説明会を実施しました。申請方法や手順についてデモ画面を見せながら説明し、何がどう変わるのかをご理解いただきました。「従来と比べて時間や手間をこれくらい削減できますよ」「もうこの作業をしなくて済みますよ」とメリットを伝えることも意識しましたね。
また、学内のグループウェア上に部局担当者とやり取りする場所を設け、マニュアルやQ&Aを共有しました。教職員から直接質問を受ける部局担当者にしっかりと理解してもらうことが何より重要ですから、現場でスムーズに対応できるように丁寧に準備したつもりです。
――なるほど、丁寧な事前準備がCWS普及につながっているのですね。CWSの構築にあたって、特に記憶に残っていることはありますか。
松岡様:
特に注力したことと言えば、職種や属性等、各自の状況に合わせて必要な申請書類が抽出できるナビゲーションの設定ですね。本当に多種多様な申請書類があるので、教職員の方々は自分が何を提出すれば良いかがわかりづらく、これまでは部局の事務担当者が一人ひとりに「これが要ります」「あれも必要です」と説明していました。特に新規採用された際の提出書類は膨大なうえ、提出先も書類ごとに異なるので非常に煩雑でした。
ナビゲーションは、「配偶者はいますか」「お子さんはいますか」「扶養手当の申請をしますか」といった簡単な質問に回答していくと、回答内容に応じて必要なすべての申請書類が自動的に選定され、表示される機能です。Webサイト上で必要事項を入力・添付するだけで申請ができ、別途提出が必要な様式もダウンロードできますので、教職員の方々はCWSで申請手続きを完結できるようになりました。
あらゆるパターンを想定し、すべての申請書を網羅する必要があったため、ナビゲーションの分岐の設計には一番時間を使いましたね。
林様:
そうですね。質問の分岐の設計においては、どのような分岐があり得るのかを洗い出して整理するために、人事課や部局の担当者と何度も打ち合わせをしました。「こんなパターンもある」「こういう質問が必要ではないか」と皆で知恵を出し合い、試行錯誤をして作り上げたので、かなり精度の高いナビゲーションができたと思います。
当初は、ナビゲーションとは別に、申請書類がズラッと並んでいる一覧画面も必要か迷いましたが、Works Human Intelligenceさんの社内申請はナビゲーションのみで運用されていると教えてもらいました。実際に画面を見せていただくとシンプルで非常にわかりやすく、一覧画面が別にあるとかえって混乱しそうだと思ったので、ナビゲーションに一本化することを決めました。
今後の展望 COMPANYにデータを集約し、人材マネジメントや人事以外の領域にも活用したい
――今後の活用方針や目指したい姿についてお聞かせください。
林様:
紙や表計算ソフトで管理しているものがまだ色々と残っているので、CWSでデジタル化できないか検討しています。
CJKについては、将来的に人材マネジメントにも活用したいと考えています。現在、人事を検討する際に必要な職員調書の情報はCJKで管理していますが、人事考課を含め、まだ集約できていない情報もあるので、まずは一元化したいですね。そうすれば、人材配置だけではなく、研修やキャリアパスの検討にも役立つと思います。
松岡様:
COMPANYは、教職員一人ひとりと繋がることができるツールです。人事課以外の業務にも活用できるかもしれないので、他の部局でどんな使い方ができそうか、ヒアリングしてみようと思っています。
――最後に、給与明細や申請のデジタル化を検討される方に一言いただけますか。
林様:
システムを構築するプロセスでは苦労もありましたが、本腰を入れて作り込めば、定量・定性の両面でしっかりと効果が得られると思います。
また、本学のように多種多様な職種の人がいる組織では、スマートデバイスは受け入れやすいと思います。スマートデバイスに対応したシステムを導入するメリットは大きいですよ。
松岡様:
CJKやCWSで実現できることは本当に色々とありますし、費用対効果も十分に得られると思いますね。
※本記事は2025年2月時点の内容です。
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