株式会社Works Human Intelligence(本社:東京都港区、代表取締役社長最高経営責任者:安斎富太郎、以下 ワークスHI)は、統合人事システム「COMPANY」のユーザーである大手法人を対象に選択的週休3日制に関する状況調査を実施し、46法人から回答を得ました(調査期間:2021年6月14日~7月2日)。制度の導入・検討状況について、調査結果をお知らせします。

 

本調査の背景

6月18日に「経済財政運営と改革の基本方針2021(骨太の方針)」[1]が閣議決定されました。「多様な働き方の実現に向けた働き方改革の実践、リカレント教育の充実」の中で、育児・介護・ボランティア・地方兼業に活用できることから、選択的週休3日制の導入を企業に促し、普及をはかると説明されています。

育児や介護を行う社員に対しては法定で短時間勤務等の措置が義務付けられており、また退職後再雇用の高年齢者に対しても多くの企業が労働時間を短縮する制度を導入しています。そのため今回新たな論点となるのは、ボランティアや地方兼業といった、多様な働き方の実現を目的とした制度です。

こうした背景を踏まえ本調査では、選択的週休3日制を含む、多様な働き方支援を目的とした休日増加・労働時間削減を行う制度の導入・検討状況について、大手法人へアンケートを実施しました。

 

調査結果

1. 多様な働き方を支援するために(育児、介護、高年齢除く)、休日の増加や労働時間を短縮する制度はありますか。(n=46)

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週休3日制を含む、多様な働き方支援のための休日増加や時短制度の導入、検討状況について尋ねたところ、43.5%が「すでに制度として運用中」と回答しました。残りの未導入の法人については、「制度検討中で実施予定」の回答はなく、28.2%が検討中(導入は未定)もしくはこれから検討予定、そして28.3%は「検討しておらず、検討の予定もない」と回答しました。

ただし、「すでに制度として運用中」と回答した43.5%の法人に対し、従業員に制度利用を認める際の事由を尋ねたところ、希望すれば理由問わず利用可能な「目的は問わない」と回答した法人は18.2%に留まりました。調査対象の46法人全体から見ると、うち7.9%が「目的を問わず、休日増加・時短を利用できる」運用をしているという結果となりました。

 

2. 休日増加・時短制度(育児、介護、高年齢除く)を開始してどれくらい経過していますか?(n=15)

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すでに制度導入済みの法人に対し、制度の運用期間について尋ねたところ、長期間運用している法人が最も多く、「5年以上」が73.3%でした。多くはここ最近で導入されたものではなく、以前より運用されていることがわかりました。一方、直近で導入した法人もあり、「1年未満」は20.0%でした。

 

3. 休日増加・時短制度(育児、介護、高年齢除く)を検討していない理由を教えてください。※複数回答可(n=13)

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制度導入を検討しない理由については、「すでにフレックスタイム制や特別休暇等、労働時間の弾力化を進めており必要性を感じない」「組合や社員からの要請がない」が38.5%、「利用する社員が見込めない」「1日の勤務時間が長時間化すると健康状態の把握の負担が増える」が30.8%でした。「その他」の回答には、反対に「希望者が多数出てしまっても困る」といった声もありました。

 

総括(解説:WHI総研※ フェロー 井口 克己)

自己実現や自己啓発を目的とした週休3日制導入には、社会的な需要の高まりや公的支援が必要

回答のあった46法人のうち、育児・介護を除いた選択的週休3日制(を含む休日増加・時短制度)を導入済みの法人は約4割あります。しかし、理由の多くは療養の必要や障がいがある場合の負担軽減となっており、理由を問わない利用を認めている企業は多くありません。また、制度を未導入の6割の法人も、現時点で積極的に導入を予定している企業はありません。

企業が、選択的週休3日制(を含む休日増加・時短制度)の導入を予定していない理由は、コロナ禍で在宅勤務とフレックスタイム制のコアタイムの撤廃が広く普及したため、現在の労働時間制度の枠組みの中でもボランティア、地域活動、リカレント教育に充てる時間を捻出することは可能であると想定していることが挙げられます。

また、選択的週休3日制度は、給与が減額されるため制度を利用する社員は多くないと企業は想定しています。しかも、影響範囲は給料の減額だけでは収まらず、時間外手当、退職金、社会保険等、多くの制度に影響がおよびます。そのため制度設計には多くの時間がかかることが想定されます。多数の課題を抱える人事部門が、利用する社員が少ないと想定される制度の導入に優先順位を上げて対応することは難しいと考えられます。

このような企業が選択的週休3日制度の導入に前向きになるには、社会全体として労働時間短縮に対する必要性が高まることや、ボランティア、地域活動、リカレント教育を促すような公的な支援の拡充が必要であると考えられます。

 

解説者プロフィール

井口さん.png井口 克己(いぐち かつみ)
株式会社Works Human Intelligence WHI総研 フェロー

プロフィール
朝日新聞社で人事管理、給与計算、労働・社会保険事務等を担当した後、Works Human Intelligenceの前身であるワークスアプリケーションズへ入社。人事給与システムの導入コンサルタントとして導入支援を行う傍ら、自社の規模拡大に伴う導入部門組織の構築、役員・他部門との連携・調整、メンバーのマネジメントを手がける。特定社会保険労務士の資格を持ち、労働法に関して社内随一の見識があり、社内外に向けて数多くの勉強会を開催している。

※WHI総研:当社製品「COMPANY」の約1,200法人グループの利用実績を通して、大手法人人事部の人事制度設計や業務改善ノウハウの集約・分析・提言を行う組織。

 

<調査概要>

調査名  :選択的週休3日制に関する状況調査アンケート
期間   :2021年6月14日~7月2日
調査対象 :当社ユーザーである国内大手法人
有効回答数:46件
調査方法 :インターネットを利用したアンケート調査

 

<引用・転載時のクレジット記載のお願い>

本リリース内容の転載にあたりましては、「Works Human Intelligence調べ」という表記をお使いいただきますようお願い申し上げます。

尚、本調査では他にも「制度導入の狙い」「直近1年の制度利用人数」「労働時間や賃金の扱い」に対する回答も得ております。詳細レポートをご要望の方は、当社ホームページのお問い合わせフォームよりご連絡ください。

 

ワークスHIでは引き続き、大手企業・法人のトレンドや業務実態について調査をしてまいります。

 

ワークスHI調査レポートとは ~HR領域における大手法人の実態を調査~

当社の製品・サービスは、約1,200の日本の大手法人グループにご利用いただいており、ほぼすべてのユーザー法人様にオンライン会員サイトへのご登録をいただいています。

このユーザーネットワークを通じて、当社では適宜、社会・経済情勢に合わせた諸課題について調査を実施。その結果を製品・サービスに反映するとともに、ユーザー法人様・行政機関・学術機関への還元を行っています。

 

Works Human Intelligenceについて

株式会社Works Human Intelligenceは大手法人向け統合人事システム「COMPANY」の開発・販売・サポートの他、HR 関連サービスの提供を行っています。「COMPANY」は、人事管理、給与計算、勤怠管理、タレントマネジメント等人事にまつわる業務領域を広くカバーしており、約1,200法人グループへの導入実績を持つ、ERP市場人事・給与業務分野シェアNo.1※の製品です。

私たちは、日々複雑化・多様化する社会課題に対してあらゆる「人の知恵」を結集し解決に取り組み、すべてのビジネスパーソンが情熱と貢献意欲を持って「はたらく」を楽しむ社会を実現します。

※2019年度 ERP市場 - 人事・給与業務分野:ベンダー別売上金額シェア 出典:ITR「ITR Market View:ERP市場2021」

 

[1] 内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2021」https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2021/decision0618.html

 

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この記事に関するお問い合わせ先

株式会社Works Human Intelligence
広報(担当:羽鳥、徳元)

TEL:03-5575-5277 FAX:03-5575-5261 E-mail:corporate-pr@works-hi.co.jp