2022年税制改正大綱を解説!住宅ローン控除と電子帳簿保存法に注目を

2022年税制改正大綱を解説!住宅ローン控除と電子帳簿保存法に注目を

公開日 2022年3月17日
更新日 2022年3月31日
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2021年12月、2022年(令和4年)度の税制改正大綱が国会で閣議決定されました。例年改正の範囲が広く、情報収集が難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。

2022年(令和4年)度の税制改正大綱では、住宅ローン控除、相続税、贈与税、消費税など個人にかかわる税制から法人税まで、様々な改正内容が発表され注目を集めています。

本記事では、2022年(令和4年)税制改正大綱において人事業務に関わりの深いポイントに焦点を当て、解説します。
 

目次

人事業務領域における2022年税制改正大綱の注目ポイント 
2022年税制改正大綱のポイント①住宅ローン控除
2022年税制改正大綱のポイント②電子帳簿保存法
2022年税制改正大綱のポイントをおさえ、続報収集と対応の準備を
 

人事業務領域における2022年税制改正大綱の注目ポイント

税制改正は、経済・社会の変化を反映するために定期的に議論されています。

そして、毎年度の具体的な制度改正の方針として取りまとめられる文書が、税制改正の大綱です。2022年(令和4年)度分の税制改正大綱については、2021年12月に閣議決定されました。この内容のうち、下記の2点が人事業務領域に深くかかわるものと考えられます。
 

 ①住宅ローン控除
 ②電子帳簿保存法


住宅ローン控除の改正は2022年(令和4)年度税制改正大綱の中でも比較的大きな改正点であり、年末調整に深くかかわることから人事業務を担当される方にとって注目度が高いのではないでしょうか。
また、電子帳簿保存法の改正は、採用や経費精算等の業務に関連する可能性があり、注意が必要な内容といえます。

では、改正内容の施行時期はいつになるのでしょうか。まずは税制改正大綱に沿って、改正法案が国会で審議されたのち、概ね3月末ごろに公布される流れをとります。
そのうえで、いつ施行されるかは内容によって幅があり、ものによっては数年先となる場合や、後から政令・省令で決める場合もあります。

さらに、実際にいつから改正内容が適用されるかは、施行の時期とずれることがあるので注意が必要です。たとえば、施行時期が4月であったとしても、年末調整の改正内容を適用すべき手続きは、たいていの場合年末が近づく冬の時期に発生します。

 

2022年税制改正大綱のポイント①住宅ローン控除

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住宅ローン控除はほぼ毎年〜隔年のスパンで頻繁に改正を続けており、2022年(令和4年)度の税制改正大綱においても変更の対象となりました。

住宅ローン控除の改正概要

2022年(令和4年)度の税制改正大綱では、主に以下の変更が加えられました。

 ①対象期間の延長
 ②全体的な引き下げ措置
 ③省エネ関連の限度額アップ
 ④控除期間延長の特例措置を終了
 ⑤年末調整残高証明書関連の提出仕様変更


複数の政策目的が絡み合っており全体像が見えにくいですが、各制度を一つずつ見ればシンプルです。

①対象期間の延長

2021年末までの入居を対象としていたが、2025年末まで対象期間を4年間延長

②全体的な引き下げ措置

 ・控除額算定のベースとなる借入(ローン)等の年末残高の限度額(借入限度額)を、
  住宅の区分に応じて引き下げ

 ・控除率をローン等の額の1%から0.7%に引き下げ

 ・制度の適用対象となる者の所得要件を、年度の合計所得金額3,000万円から2,000万円に
  引き下げ

 ・所得税では控除しきれない場合の余剰額を住民税から控除できる限度額を
  13.65万円から9.75万円に引き下げ
 

ここで挙げた住宅ローン控除の額面や控除率の全体的な引き下げは会計検査院による2018年の決算検査報告(※)に基づくものと思われます。報告の内容は、「低金利の継続に伴い住宅ローン控除額が住宅ローンの支払利息額よりも大きくなっている」としたものです。この指摘は以前より注目されており、上記の改正が見込まれます。

③省エネ関連の限度額アップ

省エネ性能に一定の基準を満たす住宅向けに、控除対象となる借入等限度額が上乗せされます。社会情勢を反映しており、脱炭素化を目指す環境保護やエネルギー政策に関連するものです。


④控除期間延長の特例措置を終了

2019年の消費税率引き上げに伴う反動軽減策としての控除期間を10年から13年に延長する特例措置が終了されます。

ただ、新型コロナウイルス感染症による経済へのダメ―ジ緩和目的の同様の特例措置については継続を方針づけています。

⑤年末調整残高証明書関連の提出仕様変更

住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書の提出が不要となります。

※「① 租税特別措置(住宅ローン控除特例及び譲渡特例)の適用状況、検証状況等について」(会計監査院)https://www.jbaudit.go.jp/report/new/characteristic30/fy30_kanshin_ch04_p1.html
 

住宅ローン控除の改正で年末調整がラクになる?

現段階では細かな業務フロー変更は想定できないものの、前述の「5.年末残高証明書関連」の改正によって年末調整業務負荷の削減に繋がる可能性があります。

よく知られている通り、給与所得者が住宅ローン控除を受ける場合、控除を受ける最初の年分については確定申告書を提出し、2年目以後の年分は、年末調整で特別控除の適用を受けます。

現状、申告の際は

   (A)「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の
         (特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」

           ⇒税務署から本人に送付される書類

     (B)「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
   ⇒住宅ローンを借り入れた各金融機関から本人に送付 

という2種類の書類を勤務先へ提出する必要があります。(年末調整電子化に伴い、これらはデータとして電子交付されるケースもあります。)

この手続きについて2022年(令和4年)度税制改正大綱の記載によると、現在の(B)年末残高等証明書にあたる情報が住宅ローンを貸し付けている金融機関から税務署に送付され、(A)証明書兼申告書に統合された形態で納税者本人に届くようになることが予想されます。
 

  1. 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除証明書の記載事項に、住宅借入金等の年末残高を加えることとする。(※1)
     
  2. 給与等の支払を受ける個人で年末調整の際に、令和5年1月1日以後に居住の用に供する家屋に係る住宅ローン控除の適用を受けようとするものは、 住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書については、給与所得者の住宅 借入金等を有する場合の所得税額の特別控除申告書への添付を不要とする。(※1) 
     
  3. 住宅ローン控除の適用に当たり必要となる住宅ローン年末残高証明書の納税者による提出を不要とする。(※2)


詳細は、2022年3月末に公布されるであろう租税特別措置法や関連政令・省令の改正条文や、国税庁から出される『令和4年分 年末調整のしかた』(令和3年分の参考※3)で詳細の確認が必要です。

※1「税制改正の大綱」(財務省)https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2022/20211224taikou.pdf
※2「令和4年度税制改正大綱」(自民党ホームページ)https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/202382_1.pdf
※3 令和3年分「令和3年分 年末調整のしかた」(国税庁)  https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2021/01.htm


なお、この変更は対象従業員が2023年以後に対象住宅に入居し、2024年1月1日以後に確定申告・年末調整を実施する場合に対象となります。

2022年税制改正大綱のポイント②電子帳簿保存法

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2021年の電子帳簿保存法の改正により、「電子取引」に該当する対象データを紙に印刷して保存する選択肢がなくなった点は記憶に新しいかと思います。2022年(令和4年)度税制改正大綱ではこの点について一部変更があり、一定期間の猶予が認められることになりました。

電子帳簿保存法に関する改正概要

2021年の電子帳簿保存法の改正は本来、2022年1月1日から施行される予定でした。しかし対応が困難な場合に配慮し、2022年(令和4年)度税制改正大綱および後続の通達(※4)により、2023年末までは「宥恕(ゆうじょ)措置」として紙保存が認められました。

したがって、2023年12月31日までに行う電子取引については、保存すべき電子データをプリントアウトして保存し、税務調査等の際に提示・提出できるようにしていれば差し支えないようです(事前申請等は不要)。

ただし、紙保存はあくまで対応が困難な場合に配慮したものです。事業者電子帳簿法取扱通達(※5)および国税庁の電子帳簿保存法一問一答(※6)によると、「やむを得ない事情」がある場合に限って認められるという建て付けとなっています。

いずれにせよ、2024年1月1日以後は保存要件に従った電子データの保存が必要になるため、対応に必要な準備を進めるべきです。

※4「電子取引データの出力書面等による保存措置の廃止(令和3年度税制改正)に関する宥恕措置について」(財務省)https://www.mof.go.jp/tax_policy/20211228keikasoti.html
「電子帳簿保存法が改正されました(令和3年12月改訂)」(国税庁)https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021012-095_03.pdf
※5「電子帳簿保存法取扱通達の制定について」(国税庁)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/030628/pdf/01.pdf
※6「電子帳簿保存法一問一答」(国税庁)https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021012-114.pdf

電子帳簿保存法の規制対象には注意が必要!

また、電子帳簿保存法における規制対象のひとつに「電子取引」という類型がありますが、該当すると紙保存が認められず、電子データ保存の義務が発生します。そのため、自社で扱っているどの書面が電子取引に該当するか把握しておく必要があります。

代表的には注文書、契約書、送り状、領収書、見積書等を電子データとして受け取る場合に該当しますが、在宅勤務/テレワークの増加に伴い、オンラインで完結するケースが増えている雇用契約書についても該当する可能性があります。

このことは、2021年税制改正の記事でも注意すべき点としてお伝えしました。
 

改めて関連当局に確認したところ、法定の書式が無く契約内容がケースバイケースとなる雇用・労働契約のようなデータが「電子取引」に該当するかどうかは「場合による」と伝えられました。

究極的には所轄税務署の判断となるようですので、該当し得るか不安な場合、まず所轄税務署に相談していただくのがよいでしょう。

 

2022年税制改正大綱のポイントをおさえ、続報収集と対応の準備を

人事担当者にとっての注目ポイントといえる、住宅ローン控除と電子帳簿保存法の改正点についてまとめました。

住宅ローン控除の改正については、回収書類統合によって年末調整業務の負担減に期待がかかる内容ですが、手続き変更に伴う運用コスト増の可能性も同時に考慮しつつ、続報を収集するとよいでしょう。
また、電子帳簿保存法の改正では、宥恕措置によって対応へ猶予ができましたが、「やむを得ない場合」の措置といえるかを把握したうえで、早めに準備を進めておくべきでしょう。

改正の内容はもちろん、新しい制度はいつからが対象で、特例措置はいつ終了するかといったスケジュールも制度ごとに様々です。早めに情報を整理して、社内の運用や対応の要否を考えてみることをおすすめします。
 

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